「円安で日本が弱くなる」は本当か? 元財務省官僚が教える「黒字大国日本」の強みとチャンス
しかし、同時に、「過去の海外への投資から得る利益」による黒字額は、貿易赤字の額を遥かに上回っています(なお、ここで言う「海外への投資」は、たとえば外国株式等の証券の購入、企業買収や不動産購入等を含みます)。
この収益のことを「第一次所得収支」と言います。平たく言えば過去に行った投資のリターンです。この「海外への投資から得る収益」も、貿易収支と同じく、「経常収支」(=国境を越えた経済取引上の収益全体)に含まれます。
つまり、経常収支全体でみると、日本は大幅な黒字であり、海外から富を得ているのです。
この「海外への投資から得る収益」は外貨で得ているので、円安になれば円建ての額は自動的に増え、円ベースの収益も増えることになります。実際に、2024年時点の財務省の試算だと、2023年のこの黒字額の6割は円安が寄与しているとのことです。
以上、身近な為替の影響を見てきました。まとめると、
・円安は、①食品の値段が上がっている、②マンションの値段が上がっている、といった点で、日本人の暮らしにとって悪い影響がある
・一方、円安は、③海外投資を行う日本企業の収益が増えている、といった点で、日本経済にとって良い影響がある
ということになります。 このように、為替の動きの影響には良いところと悪いところがあり、いろいろな角度から見る必要があります。





