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日本経済

高市早苗の圧勝が招くのは「市場の不信感」...政府と投資家の間にある「認識ギャップ」の正体

A Hidden Pitfall

2026年2月16日(月)17時00分
武田 淳 (伊藤忠総研チーフエコノミスト)

官主導の投資拡大の是非

「強い経済」を実現する方法についても、議論の余地があろう。高市首相は危機管理投資と成長投資の拡大によって、それを実現するとしている。「強い経済」を高い実質成長率とするならば、これまで述べたとおり供給力不足が障害となるため、投資拡大が最適解であることは間違いない。

ただ、その主体ないしは主導する役割を政府が担うべきなのか。かつての国鉄の赤字路線問題や平成バブル期のリゾート開発ブームなど、政府による積極的な投資拡大の失敗が膨大な不良資産となった事例は少なくない。多額の税金を集めることができる政府にとって、積極投資は民間に比べはるかに容易だが、失敗した場合の後始末は広く国民に負担を強いることになる。


そのため、官主導の是非について十分な議論が必要だと思うが、それが今回の選挙でなされたのだろうか。投資の主体は、判断材料をより豊富に持ち、責任を明確化しやすい民間のほうが望ましく、政府は民間に相応のリスクを負わせつつ、投資拡大を促す仕組みづくりに徹することが、目的の達成にも財政の健全性にも有効なのではないか。

財政健全化指標の誤解

財政状況を評価する指標の使い方にも認識の相違があるように思う。高市首相は、財政の持続可能性への配慮を示す意味で、政府債務残高のGDP比を下げていくとした。この指標自体は、国際的にも広く用いられているため、異論を唱える人は少ないだろう。

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