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日本経済

高市早苗の圧勝が招くのは「市場の不信感」...政府と投資家の間にある「認識ギャップ」の正体

A Hidden Pitfall

2026年2月16日(月)17時00分
武田 淳 (伊藤忠総研チーフエコノミスト)

「行きすぎた緊縮」か

そう考える一例として、これまでの財政運営を「行きすぎた緊縮思考」としたことが指摘できる。実際のデータで財政の状況を確認すると、国の一般会計の歳出総額は、2019年度の101兆4000億円から20年度はコロナ禍で147兆6000億円へ膨らみ、その後、徐々に減らしたものの、24年度でも126兆5000億円までの抑制にとどまった。つまり、この5年間に歳出規模は約25兆円も拡大したわけだが、税収は58兆4000億円から75兆2000億円へ17兆円しか増えていない。黒字財政ならまだしも、大幅な財政赤字のまま、収入が増える以上にお金を使っておいて「行きすぎた緊縮」はないように思う。

こうした認識が、拡張財政の必要性を訴える根拠となっているのなら、問題である。高市政権は昨年、予算規模21兆円もの大規模経済対策を打ち出しているが、日銀や内閣府の推計によると、需要不足は昨年7~9月期時点でGDP比0.2~0.35%、金額に直すと1兆3000億~2兆3000億円にすぎない。マクロ経済政策としては明らかに過大な財政支出だったわけである。


その結果、今や来年度にかけて年1%程度の経済成長、すなわち需要拡大が見込まれる状況にある。一方で、供給力の拡大ペースを表す潜在成長率は、内閣府や日銀の推計によると0.5~0.7%にとどまる。要するに、いくら物価高対策や公共投資の拡大などで需要を刺激しても、供給力を高めないと成長はできず、無理に需要を増やそうとすればインフレが加速してしまう状況なのである。もちろん、インフレによる税収増が財政健全化の近道だと考えているのであれば、日銀に対する利上げ抑制圧力や円安歓迎とも整合的であり、その意味で筋は通っているが、高市政権の真意は定かではない。

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