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日本経済

高市早苗の圧勝が招くのは「市場の不信感」...政府と投資家の間にある「認識ギャップ」の正体

A Hidden Pitfall

2026年2月16日(月)17時00分
武田 淳 (伊藤忠総研チーフエコノミスト)
高市早苗の選挙ポスター

SNSを駆使した総選挙戦略が功を奏し、自民党単独で3分の2の議席数を確保したが JAMES MATSUMOTOーSOPAーREUTERS

<歴史的圧勝で「責任ある積極財政」への免罪を手に入れた高市政権。ただし、経済と財政を「誤解」したままでは、日本はインフレと円安に飲み込まれることとなる>

衆院選での自民党大勝を受けて、高市早苗首相は選挙で審判を仰ぐとした「重要な政策転換」に踏み切り、「責任ある積極財政」を進め「強い経済」を目指すとみられる。しかし歴史的大勝に乗じて、経済や財政に関する高市首相と金融市場との間の「認識ギャップ」を放置すれば、インフレと円安が加速するリスクがある。

【動画】サナエノミクスは日本の経済再生の希望となりえるか?

この段階で気になることが2点。まず、何に対して「責任ある」積極財政なのか。国民から預かったお金を大切に使うという意味で、財政規律に責任を持つと受け止めるのが素直なのだろうが、別の見方もできる。高市首相は昨年10月の所信表明演説で「経済あっての財政」と明言しており、これに基づけば、責任を持って積極財政を行い、それで景気が良くなり税収が増えれば、結果的に財政規律が維持される、という受け止め方である。


もう1点は「強い経済」とは何なのか。それが年1%を超える日本としては高い経済成長なのか、名目GDP1000兆円を目指すのか。ただ名目GDPを増やすだけならインフレでも構わない。さらに問えば、円安をどう考えるのか。一般的に「強い経済」といえば通貨も含むと考えるのが自然であり、円安は許容されない。

このように、サナエノミクスが描く経済の姿も、その実現のためのプロセスも、いまひとつクリアに理解できない。その根本的な原因は、外為特会に関する「ホクホク」発言に象徴されるように、高市首相と市場関係者やエコノミストとの間に存在する、経済や財政に関する認識のギャップなのかもしれない。

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