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【独占】イスラエル・ヘルツォグ大統領インタビュー──戦場と化した聖地で和平を夢見て

THE DREAM OF PEACE

2026年2月6日(金)06時00分
ジェニファー・H・カニングハム(本誌米国版編集長)、トム・オコナー(同外交担当副編集長)
ヘルツォグは「将来、中東はユダヤ教徒とムスリムの対話の場になるだろう」と力説した BEATA ZAWRZELーNURPHOTOーREUTERS

ヘルツォグは「将来、中東はユダヤ教徒とムスリムの対話の場になるだろう」と力説した BEATA ZAWRZELーNURPHOTOーREUTERS

<国交正常化のチャンス到来、和平実現に強気のヘルツォグ大統領が明かした、「トランプ主導」による停戦への期待>


▼目次
アラブ側の意識にも変化が
トランプは「ゲームの達人」
「アブラハムの子孫」として

パレスチナ自治区ガザで続く戦闘に終止符を打つべくドナルド・トランプ米大統領が主導する停戦案が、中東和平の実現につながる──。そんな期待が渦巻くなか、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領はサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と和平実現を祝う日を夢見ている。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相の下で紛争が始まって2年余り、エルサレムの自宅で本誌の単独インタビューに応じたヘルツォグは、今がチャンスだと語った。イスラエルはガザを実効支配するハマスをはじめとするパレスチナの過激派組織との血みどろの戦争に加えて、イラン、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派やシリアの諸勢力にも攻撃を仕掛けてきた。

「和平実現を祝うのが私の夢だ。例えば、サウジアラビアのムハンマド皇太子と共に。イスラム教発祥の地(サウジアラビア)と、キリスト教とユダヤ教の発祥の地(パレスチナとイスラエルの一帯)が協力すれば、世界を変えられると考えている」

「(和平が実現すれば)私個人にとっても中東にとっても素晴らしい瞬間になるだろう。ただし、そのためにはまだやるべきことが多い」

サウジアラビアとの和平がイスラエルの中東における国交正常化を目指す取り組みの目玉だというのは周知の事実だが、それは法外な望みだ。サウジアラビアは和平の条件としてパレスチナ国家樹立のロードマップ(行程表)をイスラエルが提示することを求めている(ヘルツォグはこの件についてはノーコメント)。

パレスチナ独立に向けた交渉を再開させるという展望に対するイスラエル世論の反応は、今回の戦争で大きく変容している。同時に停戦中も人命が失われ続けている状況は、パレスチナ側にも不信とトラウマを生んでいる。それでも、サウジアラビアとの歴史的な和平合意から得られる恩恵は極めて大きい。

サウジアラビアはイスラム教の発祥地で、第1の聖地メッカと第2の聖地メディナ(第3の聖地エルサレムはユダヤ教の聖地でもある)を擁し、アラブおよびイスラム世界において独特の地位を占めている。近年は急速な経済成長と地政学的影響力の増大、実質的指導者であるムハンマド(欧米ではイニシャルのMBSで知られる)が主導する継続的な変革によって影響力を増している。

そんな大国との国交正常化が実現すれば、中東におけるイスラエルの立場が一変する可能性がある。イスラエルは1948年の建国以来、中東で紛争に明け暮れてきた。

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