最新記事
ガザ

家族と離れて生き残ることに何の意味があるのか...ガザから一人逃れた23歳のアーティストが語る胸の内

Voices From Behind the Wall

2025年12月19日(金)17時30分
アヤ・ザクト

24年の4月、私は意を決して家族に相談した。ガザを出たい、そしてこの戦争で中断された暮らしを再開したいと。家族はいつだって最高のサポーターだ。私の絵が好きで、いつも新作を待ちわびている。私が歯医者になるのも待ちわびていて、早く私の患者になりたいと言っている。だからガザを出て歯科医研修を終わらせ、画業も続けたいという私の願いも快く受け入れてくれた。人々に笑顔を届けるという私の夢を実現するにはそれしかないと理解してくれた。家族みんなでガザを出るという選択肢はなかった。ラファの検問所を抜けてエジプト側に入るには一人あたり約3800ポンド(約70万円)の「手数料」が必要だ。家族8人分なら、ざっと3万ポンド。戦争で経済活動が止まってしまった今のガザで、そんな金額を調達できるわけがない。


だから私はひとりでエジプトへ渡った。自分を救うために。戦火の絶えないガザに両親ときょうだいを残して。この決断の重さに、本当に気づいたのはエジプトに着いてからだ。以来ずっと、私の心は揺れている。私は生き残ることになったが、家族と離れて生き残ることになんの意味があるのだろう? 家族を置き去りにしてまで生きることの価値は? 家族を生贄(いけにえ)に捧げるなんて、できっこない。学びを続け、未来を築きたいパレスチナ人はこんなにも多くの犠牲を払わなきゃいけないの?

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

追加協調放出含め、さらなる対応を機動的に講じる準備

ワールド

トランプ氏、ホルムズ開放なければ「カーグ島」標的と

ワールド

米提案「非現実的」とイラン、イエメンなどからイスラ

ビジネス

ECB、政策調整でためらいや先回りはせず=レーン専
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカートニー」を再評価する傑作映画『マン・オン・ザ・ラン』
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 6
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 7
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中