家族と離れて生き残ることに何の意味があるのか...ガザから一人逃れた23歳のアーティストが語る胸の内
Voices From Behind the Wall
24年の4月、私は意を決して家族に相談した。ガザを出たい、そしてこの戦争で中断された暮らしを再開したいと。家族はいつだって最高のサポーターだ。私の絵が好きで、いつも新作を待ちわびている。私が歯医者になるのも待ちわびていて、早く私の患者になりたいと言っている。だからガザを出て歯科医研修を終わらせ、画業も続けたいという私の願いも快く受け入れてくれた。人々に笑顔を届けるという私の夢を実現するにはそれしかないと理解してくれた。家族みんなでガザを出るという選択肢はなかった。ラファの検問所を抜けてエジプト側に入るには一人あたり約3800ポンド(約70万円)の「手数料」が必要だ。家族8人分なら、ざっと3万ポンド。戦争で経済活動が止まってしまった今のガザで、そんな金額を調達できるわけがない。
だから私はひとりでエジプトへ渡った。自分を救うために。戦火の絶えないガザに両親ときょうだいを残して。この決断の重さに、本当に気づいたのはエジプトに着いてからだ。以来ずっと、私の心は揺れている。私は生き残ることになったが、家族と離れて生き残ることになんの意味があるのだろう? 家族を置き去りにしてまで生きることの価値は? 家族を生贄(いけにえ)に捧げるなんて、できっこない。学びを続け、未来を築きたいパレスチナ人はこんなにも多くの犠牲を払わなきゃいけないの?





