リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上──韓国政府機関の火災が示した「デジタル先進国」の脆さ
9月26日に火災が発生した国家情報資源管理院大田本部 KBS News / YouTube
<復旧は進みつつあるが原因は構造的。IT先進国を名乗る足もとの脆さが露呈した>
韓国中央災難安全対策本部は、9月26日に発生した国家情報資源管理院大田(テジョン)本部の火災により麻痺した行政情報システムの45.7%が復旧したと10月16日に発表した。国民生活に直結する1等級システムの復旧率は77.5%で、政府は今月末までに未復旧の主要システムを再開し、その他のシステムは11月20日までの復旧を目標に掲げている。
9月26日午後8時20分ごろ、韓国中西部の大田市にある国家情報資源管理院の5階・電算室でリチウムイオンバッテリーから火災が発生。大田市消防本部は約170人と63台を投入し、火災発生から約10時間後の翌27日午前6時30分ごろに鎮圧した。
この火災ではバッテリー384個が焼失しただけでなく、同院が管理・運営する政府の647件の行政オンラインシステムに影響を与え、政府メール、証明書発給、郵便や一部の救急関連機能など広範なサービスが停止・低下した。
被害の象徴となったのが、公務員の業務用クラウドストレージ「G-Drive」の消失だ。バックアップが存在しなかった同システムは焼失し、約858TBの業務データが失われた。中央政府の職員の一部(約12万5千人)が利用していたとの報道がある一方、より広い範囲で数十万人規模が使っていたとの指摘もある。いずれにしても"唯一バックアップのない"システムだった点が被害拡大の決定打となった。






