最新記事
ウクライナ戦争

ポーランド大統領がウクライナの避難民向け支援措置延長法案に拒否権、スターリンク利用に暗雲

2025年8月26日(火)09時35分
ナブロツキ大統領

8月25日、ポーランドのガフコフスキ副首相兼デジタル化相は、同国で暮らすウクライナの避難民向け支援措置延長法案についてナブロツキ大統領(写真)が拒否権を発動したため、ウクライナが米スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」を利用できなくなる恐れが出てきたと明らかにした。ワルシャワで21日撮影(2025年 ロイター/Kuba Stezycki)

ポーランドのガフコフスキ副首相兼デジタル化相は25日、同国で暮らすウクライナの避難民向け支援措置延長法案についてナブロツキ大統領が拒否権を発動したため、ウクライナが米スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」を利用できなくなる恐れが出てきたと明らかにした。

ナブロツキ氏は25日、同法案に拒否権を行使するとともに、今後ウクライナ難民による児童手当や医療給付金の利用を制限する計画を表明した。


ガフコフスキ氏によると、この法案はウクライナにスターリンクを提供する根拠にもなっている。ポーランドはウクライナのスターリンク利用料金支払いを負担しており、法案が成立しなければ、ウクライナは利用継続が不可能になりかねない。

デジタル化省の報道官は、ナブロツキ氏の拒否権発動によって10月1日以降、スターリンク利用料金支払いは法的根拠を失うと述べた。

一方大統領報道官はロイターに、大統領が提案した別の法案を9月末までに議会が採択すれば、スターリンク利用料金支払いの根拠は復活する可能性があると語った。

ポーランドは、ロシアによる2022年のウクライナ侵攻以来、一貫してウクライナを強力に支援してきた。中道派のトゥスク首相とナショナリストのナブロツキ氏はロシアに抵抗するウクライナへの援助が必要という点では意見が一致しているものの、ポーランド国民の一部は国内に住む推定150万人のウクライナ難民への支援継続により消極的になりつつある。

今年の大統領選でナブロツキ氏は、トランプ米大統領に触発された形で「ポーランド第一主義」を掲げ、外国人の権利制限を訴えて当選した。

ナブロツキ氏は、児童手当や医療給付金に関して、ポーランドで働く努力をしているウクライナ難民に限って認めるべきだとの考えを示している。

ウクライナ公共放送局は当局者の話として、同国政府はスターリンク利用料金支払いを巡ってポーランド側と協議中だと伝えた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


日本企業
変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本のスタートアップ支援に乗り出した理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英食料品インフレ率、9カ月ぶり低水準4.0%=ワー

ビジネス

フジHD、旧村上系が大規模買付取り下げ 外部資本導

ワールド

ドイツ、軍事宇宙支出計画で偵察衛星など検討 中ロの

ビジネス

再送-〔焦点〕再び円安警戒モード、高市氏「ほくほく
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 8
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 9
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 10
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中