最新記事
理科教育

日本の高校生が「社会に出たら理科は役に立たない」と考える理由

2025年7月16日(水)11時45分
舞田敏彦(教育社会学者)
理科学習イメージ

高校生の半分近くが「社会に出たら理科は必要なくなる」と考えている photoAC

<世界各国で比較すると、日本の理科の授業は実験や議論など探究心を育てる機会が最低レベル>

今月3日に、国立青少年教育振興機構が『高校生の科学への意識と学習に関する調査』の結果を公表した。それによると、日本の高校生の半分近くが「社会に出たら理科は必要なくなる」と思っている。他の調査対象国(米中韓)と比べて、こうした意識の生徒の割合が高い。

「理科は必要だ(役に立つ)」と答える生徒が想定しているのは、理科の(抽象的な)知識が実生活に役立つ、ということだけではないだろう。論理的に物事を考える、生活上の問題を科学的な手続きで解決する、仮説を実験(データ)で検証する、というような実用的な点も認識していると思われる。むしろ、こちらのほうが大きいのではないか。


こういう認識を生徒が持つかどうかは、理科の授業のあり方に影響される。教科書の知識を湯水のごとく注ぎ込む「注入型」の授業ばかりでは、生徒は理科の有用性を感じにくい。そうではなく、内容が実生活とどう関わるかを理解し、皆で問題を抽出し、仮説を練り上げ、実験でそれを確かめる、というような経験が授業の中で得られるならば、「社会に出た後も理科は役に立つ」と思えるようになるだろう。

日本の学校では、こういう授業はあまり行われてないようだ。理科の授業で実験を頻繁に行う、と答えた生徒の割合を国ごとに比べると<図1>のようになる。

newsweekjp20250716021001.png

15歳の生徒とあるので、高校1年生の回答とみていいだろう。日本は14.9%で、欧米諸国と比べると低い。お隣の韓国は10.0%ともっと低い。受験社会なので、ほとんどが座学の知識注入型の授業なのだろう。筆者の高校時代を振り返っても、理科で実験などした記憶がない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、グリーンランド巡る対欧関税撤回 「NA

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長候補者絞り込み 決定間近

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長候補者絞り込み 決定間近

ワールド

トランプ氏、全米行脚へ 中間選挙に向け有権者との対
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の核開発にらみ軍事戦略を強化
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 9
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 10
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中