最新記事
関税戦争

トランプ、銅に50%、医薬品に200%の関税を表明...医薬品には1年から1年半程度の猶予

2025年7月9日(水)10時00分
トランプ

7月8日、トランプ米大統領(写真)は輸入する銅に50%の関税を課すと述べた。写真は6月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Ken Cedeno)

トランプ米大統領は8日、輸入する銅に50%の関税を課すと述べた。電気自動車(EV)や軍事装備、電力網、多くの消費財にとって重要な金属の国内生産の増強が目的とみられるが、発効の時期については明確にしなかった。

半導体や医薬品などに対する関税を近く発表する考えも示し、医薬品の関税率は200%に達する可能性があるとした。ただ、製薬会社が対処できるように「1年から1年半程度の猶予を与え、その後に関税を課す」と述べた。


さらに、新興国グループ「BRICS」諸国に対する関税も改めて警告。「BRICSに加盟している国はかなり近いうちに10%の関税を課される」と語った。

一方、欧州連合(EU)および中国との貿易協議は順調に進んでいると述べた。ただ、EUには数日内にも関税を通知する書簡を送る見通しとした。

トランプ氏の発言は世界経済を一段と不安定化させる可能性がある。COMEX銅先物は8日の取引で10%超急伸。米株式市場のS&P総合500種は小幅安で取引を終えた。

同氏は「米国から搾取し、われわれの愚かさを陰で嘲笑してきた国から金銭を徴収し始める時が来た」と述べた。

EUについては、おそらく2日以内にも関税率を通知する見通しとした。同時にEUが最近の貿易交渉で米国を非常に好意的に扱っているとも述べた。

関係筋によると、EUは航空機、医療機器、酒類など主要輸出産業について譲歩することで8月1日までの合意を目指している。米国に大規模な生産拠点を持つ欧州自動車メーカーを保護するための措置も検討しているという。

一方、ドイツのクリングバイル財務相は「米国と公正な貿易協定で合意に至らなければ、EUは対抗措置を取る用意がある」と議会で述べた。

トランプ氏は中国について「このところ関係は非常に良好だ」とし、「彼らは貿易協定において非常に公平に対応している」と指摘。習近平国家主席と頻繁に話し合っていると述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

IBM、コンフルエントを110億ドルで買収 AI需

ワールド

EU9カ国、「欧州製品の優先採用」に慎重姿勢 加盟

ビジネス

米ネクステラ、グーグルやメタと提携強化 電力需要増

ワールド

英仏独首脳、ゼレンスキー氏と会談 「重要局面」での
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中