「安全なのは強者だけ」...止めるはずが核拡散を逆に招いた、イスラエルとアメリカの「愚かな力の論理」
AN IRANIAN BOMB JUST BECAME MORE LIKELY
1981年、IAEA監視下にあったイラクのオシラク原子炉がイスラエルに空爆されると、サダム・フセイン大統領(当時)は核開発計画を地下に潜らせた。イランも同様に、今後は透明性と監視を拒み、秘密主義と曖昧さを好む可能性が高い。
イランだけではない。強大な国家がIAEAの保障措置下にある核施設を自由に爆撃できるなら、国際的な核不拡散体制を信頼する国などあるだろうか。
イラクのフセインやリビアのカダフィ大佐と同じ運命を避けたい国は皆、核保有を目指すはずだ。
核不拡散への唯一の道は今も昔も外交であり、破壊ではない。攻撃は核開発を一時的に遅らせられても、長期的な自制にはつながらない。
アメリカとイスラエルの軍事行動は核開発を止めさせる先制攻撃ではなく、むしろそれを加速させた出来事として記憶されるだろう。
ブラマ・チェラニ
BRAHMA CHELLANEY
インドにおける戦略研究・分析の第一人者。インド政策研究センター教授、ロバート・ボッシュ・アカデミー(ドイツ)研究員。『アジアン・ジャガーノート』『水と平和と戦争』など著書多数。
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