台湾人が中国に「強制送還」されている...カンボジアの特殊詐欺摘発は「国家ぐるみ」の演出か?
Deported to the Wrong Country
カンボジアと中国の関係は表向きは互恵的なものだが、実際は対等な責任を伴うものではない。4月の習のプノンペン訪問の際に見られた「外交的腹話術」と呼ぶべき出来事が、それを象徴している。
カンボジア政府は習の帰国後に発表したプレスリリースで、中国政府がカンボジア側の詐欺取り締まりを「称賛した」と表現。
だがその後に発表された両国政府による共同声明では、「評価した」とやや控えめな表現になっていた。カンボジア側のプレスリリースはその後、政府の公式サイトなどから削除された。
うわべだけの取り締まり
「カンボジア政府のプレスリリースは、相手国の言葉を都合よく補って幻想を演出することで知られている」と、米ハーバード大学アジアセンターの客員研究員で、この地域の組織的なオンライン犯罪を調査しているジェイコブ・シムズは言う。
シムズはカンボジアの詐欺産業が国家ぐるみで支援されている実態に、長年にわたって警鐘を鳴らしてきた。彼は最近発表した報告書で、メコン地域の詐欺摘発における中国の取り組みには、全く一貫性がないと指摘した。
シムズは、中国のこうしたやり方はカンボジアにとって「好都合」だとも述べている。「カンボジアの与党と密接なつながりがある人物の責任追及や、政権に利益をもたらす犯罪産業の真の撲滅にはつながっていない」からだ。