台湾人が中国に「強制送還」されている...カンボジアの特殊詐欺摘発は「国家ぐるみ」の演出か?
Deported to the Wrong Country
以来、中国との関係は深まるばかりだ。2023年に息子のフン・マネットが首相職を引き継いでからは、相互不干渉を原則に、中国とさらに友好関係を築いている。
97年のクーデター以降、カンボジアは中国の外交・経済的支援に対し、求めに応じて反体制派や指名手配者を中国に送還することで報いてきた。
対象には、ウイグル出身の難民認定申請者や、中国で邪教と見なされている法輪功の実践者など中国人が含まれていたが、台湾人もその中にはいた。「台湾は中華人民共和国の不可分の一部」という中国の主張に従った形だ。
救出の外交ルートがない
台湾にとっては懸念すべき事態だ。カンボジアに渡って詐欺に関与する台湾人は後を絶たず、自発的に来た者もいれば人身取引の被害者もいる。詐欺拠点はカンボジアのほぼ全州で急増している。
「人身取引の被害者と考えられるケースでも、われわれには救出するための外交ルートがない」と、台湾の当局者は言う。
台湾の大陸委員会のデータによると、詐欺に関与したとしてカンボジア、ケニア、スペインから中国本土に移送された台湾人は16年以降、少なくとも600人に上っている。
だがその後、台湾に戻った人がいるかどうかを台湾当局が把握するのは困難だ。昨年移送された台湾人のうち、今年4月までに帰ってきた人はいないと、前出の当局者は言う。