トランプの法を無視した移民排斥を最高裁が容認...数十万人の一時保護が即座に剝奪、巨額の罰金も
Trump Ramps Up Attacks on the System

国外追放となり移民関税執行局のチャーター機に乗り込む人々(4月、シアトル) DAVID RYDER/GETTY IMAGES
<あらゆる手段で数十万人を強制出国させるトランプ。「法の番人」の最高裁すら止められない不透明な移民排斥政策は合法的に移民してきた人々も不安にさせている>
ドナルド・トランプ米大統領は、犯罪歴があって永住権を持たない移民を強制送還するという公約を掲げて当選した。しかし、就任初日から連発している大統領令では、アメリカで生まれたほぼ全ての人に市民権を与える出生地主義の廃止や、重要な難民プログラムの一時停止など、永住権を持つ移民も攻撃の対象にする意向を明らかにしている。
この数カ月、トランプ政権は憲法違反と思われる措置を次々と打ち出し、司法の忍耐力を試してきた。その多くは、各地の連邦地方裁判所の差し止め命令によって一時的ながら阻止されている。
しかし、連邦最高裁判所はこのところ、トランプのやりたい放題を容認するかのような動きも見せ始めた。下級裁判所が全国に適用される差し止め命令を出す権限を、制限または停止しようとしているのだ。
3月末にカリフォルニア州の連邦地裁は国土安全保障省に対し、約35万人のベネズエラ移民の一時保護資格(TPS)を剝奪する措置について差し止め命令を出した。同省は連邦最高裁に上告。最高裁は5月19日、差し止め命令を一時的に停止した。