最新記事
韓国政治

ドタバタ劇の中で「現実主義者」へのイメチェンに成功した李在明...韓国大統領選に「大逆転」はあるのか?

A Landslide in the Making

2025年5月20日(火)19時10分
ミッチ・シン(ディプロマット誌韓国特派員)
金文洙

5月10日に緊急記者会見を開き、与党指導部の画策について語る金文洙 CHRIS JUNGーNURPHOTOーREUTERS

<野党・李在明の圧倒的優位は動かず...。「第3の候補」でまとまれなければ、分裂・迷走の保守派に勝利はない>

韓国では6月3日に実施される大統領選挙に向け、5月12日に公式に選挙戦の火ぶたが切られた。これにより与党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の後任が決まる。

尹は昨年12月3日に突然「非常戒厳」を宣布、韓国社会を大混乱に陥れて国会に弾劾訴追された。弾劾の可否を判断する憲法裁判所の裁判官は今年4月、全員一致で尹に罷免を宣告した。


前大統領の罷免を受けての選挙では、当然ながら与党が不利になる。目下のところ、支持率50%前後と世論調査で圧倒的なリードを維持しているのは野党「共に民主党」の公認候補である李在明(イ・ジェミョン)だ。

李は前回の大統領選で虚偽発言をしたとして公職選挙法違反の罪に問われるなど、複数の「司法リスク」を抱えている。虚偽発言事件に関しては二審で無罪となったが、最高裁は5月1日、二審判決を破棄し審理のやり直しを命じた。

これに対しては李が大統領選に出馬できないよう急いで下した裁定であり、選挙に対する司法のあからさまな介入だとの見方もある。

だが、やり直し裁判は大統領選後に行われることになり、李の出馬は阻止されなかった。最高裁の事実上の「有罪」認定にもかかわらず、李の支持率はむしろ上がっている。

李は保守派の有権者の支持もつかむべく、経済の再活性化に全力を注ぐと誓っている。リベラルと保守の対立軸にこだわるのは不毛であり、自分が政権を取ったあかつきには経歴やイデオロギーを問わず、有能な人材を起用するとも述べている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、台湾への武器売却を承認 ハイマースなど過去最大

ビジネス

来年のIPO拡大へ、10億ドル以上の案件が堅調=米

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の

ビジネス

ノバルティスとロシュ、トランプ政権の薬価引き下げに
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中