トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてきた3つの確実

DEALMAKER OR DESTROYER?

2025年4月17日(木)15時11分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

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トランプ政権内の貿易強硬派ナバロ(次ページ写真)やラトニック(写真右)と、穏健派のベッセント(左)──90日間の停止期間終了後に何が起こるかは、トランプが誰の意見に耳を傾けるかで決まりそうだ ANNA MONEYMAKER/GETTY IMAGES

以前は大統領としての実績を株価で測っていたトランプだけに、今回の市場の混乱を受けて、90日間の停止期間中にニューヨークの不動産業者らしい交渉に転じる可能性もある。むちゃな要求を引っ込めて関税率を10%に近づけ、貿易赤字を削減する一方、中国とは事実上のデカップリング(分離)を進めるというものだ。

そしてヨーロッパとアジアで「マッドマン」の評価が定着した今、大きな譲歩を勝ち取ることも夢ではない。1980年代に当時のロナルド・レーガン大統領が日本車の生産をアメリカに移転させたように。以上は極めて楽観的な予測だ。


では、最も悲観的な予測は? 

トランプは朝令暮改を繰り返す不確実性と、トップの自分が課す関税を好む。誰が敗者で誰が勝者か、自分が決められるからだ。この場合、市場の機能は喪失し、全てはトランプの気分次第ということになる。

90日間の停止期間終了後に何が起こるかは、スコット・ベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官、ピーター・ナバロ通商・製造業担当大統領上級顧問のうち誰の言葉にトランプが耳を傾けるかに懸かっているかもしれない。

ベッセントはより計画的で抑制的な関税の適用を提唱し、ラトニックは大統領に思い切った行動を取るよう促している。ナバロは徹底した保護主義者で、この瞬間を待ち望んできた。

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