最新記事
ヨーロッパ

2カ月たっても消えない......ハンガリー「日本人女性DV死」への怒り

A Tragic Life

2025年4月3日(木)16時12分
池田和加(ジャーナリスト)

newsweekjp20250401065724-6164618359af22d5cc5f755b557dec099a2dbca9.jpg

警察が公開した犯行直前のデイビッドの映像 POLICEHUNGARY/YOUTUBE

みどりさんは約20年前、留学先のアメリカで知り合ったデイビッドと結婚。ドイツを経て、10年ほど前にハンガリーに移り住んだ。友人たちの評によれば、デイビッドは「黒いオーラを持つ」人物だ。「目が合うと身がすくんで動けなくなる。『日本人は嫌いだ。近寄るな』という独特の雰囲気だった」と、日本人の友人は証言する。子供たちが日本語を話すことさえ嫌っていた。父親の米国籍を捨て、母親のアイルランド国籍を選択。未成年時にアメリカで犯罪を犯した経歴があるデイビッドは、今もオンラインで違法に収入を得ていると、みどりさんは友人たちに打ち明けていた。

ハーグ条約で帰国できず

ハンガリーのDV被害者支援団体パテント協会のユリア・スプロンズ弁護士によると、デイビッドの意向で子供2人はいずれも出生地主義のブラジルで生まれ、日本、アイルランド、ブラジルの三重国籍者だった。デイビッドは友人に「ヨーロッパはもう終わっている」「何かあったときに、いつでも違う国に行ける」と話していた。


子供が生まれた後、みどりさんに対するデイビッドの暴力は次第に激しくなった。「ハンガリー語がしゃべれず学歴もないせいで、おまえは仕事にも就けない」と日常的に罵倒され、ベランダで首を絞められたり、銃を突き付けられることもあった。しかし、みどりさんが相談しても、地元警察はデイビッドを1日拘束しただけで釈放。ハンガリーでは取得が難しい銃の所持免許を持っていたが、それも取り上げられなった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG「ビジョン・ファンド」、2割レイオフ

ビジネス

三井住友FG、米ジェフリーズへ追加出資で最終調整=

ワールド

EU、ロシア産LNGの輸入禁止前倒し案を協議

ワールド

米最高裁、トランプ関税巡る訴訟で11月5日に口頭弁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中