最新記事
アメリカ

バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』が禁書に? 図書館追放の可能性、その理由とは?

Was JD Vance's Book Pulled From Pentagon Schools? What We Know

2025年3月3日(月)11時40分
スザンヌ・ブレイク

『ヒルビリー・エレジー』は「コンプライアンス審査」の対象か?

国防総省教育活動部のウィル・グリフィン広報部長は本誌に次のようにコメントしている。

「ヒルビリー・エレジーは図書館収蔵図書として国防総省の学校で貸し出しができる。国防総省教育活動部(DoDEA)は直近の大統領令および国防総省のガイダンスに照らして現行の方針や教材の見直しを行っている。国防総省の部局として、DoDEAは大統領令と国防総省のガイダンスに全面的に従う」

太平洋西部DoDEAのジェイコブ・シャーウッド管理官はこのほど、韓国の烏山空軍基地で開かれたタウンホール集会で、「図書館から撤去すべき図書に関するリストが今現在存在するかどうかという問題だが、手短に言うと存在しない」と語った。

表現の自由を訴える団体PENアメリカは、Xにこう投稿した。「トランプ政権は図書の禁止をデマと呼んだ。しかし今、政権内部からその声が出ている。J・D・バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』は、国防総省の学校から撤去されるべき図書のリストに加わって、『コンプライアンス審査』を待っている」

図書はDoDEAの審査を経て撤去される可能性がある。しかしグリフィン広報部長は本誌に寄せた声明の中で、自身の「認識」によれば、バンス氏の『ヒルビリー・エレジー』は審査対象とは「みなされていない」と言い添えた。

「現時点で我々は審査を行っている。審査が終わるまで、我々の学校図書館から図書が恒久的に撤去されることはない」「その間、審査中の図書の利用は専門職員に限定される。私の認識では、同書は審査の対象とはみなされていない」とグリフィン氏はコメントしている。

(翻訳:鈴木聖子)

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中