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荒川河畔の「原住民」(25)

封建時代の「浪人」が現代のホームレスになった? 日本のホームレス史をたどる

2025年3月20日(木)11時05分
文・写真:趙海成

そして「浮浪者」は「ホームレス」になった

ホームレス(homelessness)という言い方は1970年代頃のイギリスで使われていた言葉であり、日本では長らく「浮浪者」などと呼ばれてきた。

1990年代に入ると、バブル崩壊の象徴として、仕事を競い合う労働者や新宿のダンボールハウスに住むホームレスがマスコミで報道されるようになった。その頃に「ホームレス」という言い方が日本で一般的になったという。

「浮浪者」も「ホームレス」も同様に、さまざまな理由により定まった住居を持たず、野宿をする者を指している。

漢字が発明された国に生まれた私にとっては、日本語の「浮浪者」のほうがよほど英語の「ホームレス」より鮮明で理解しやすい。それなのになぜ「浮浪者」の代わりに「ホームレス」に取って代わられたのか、と疑問に思っていた。

調べてみると、「浮浪者」という言い方には差別的な表現の疑いがあるからだと知った。

「失われた10年」でホームレスは急増、2万5000人を超えた

「失われた10年」により経済が停滞した日本では、不景気による失業者の増加によりホームレスの数が増え、2003年には全国で2万5000人を超えた(厚労省のデータによる)。路上や公園、駅、河川敷等に野宿を余儀なくされている人々の存在は、大都市を中心に全国的に広がっていた。

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