最新記事
ウクライナ情勢

トランプ大統領との関係を修復したウクライナ...「停戦合意」も根本は未解決

2025年3月13日(木)13時35分

また、ジョウクヴァ氏は、今回の会談では領土に関する議論がほとんど取り上げられず、停戦は和平プロセスの第一歩にすぎないとの認識も示した。「ウクライナは決して領土を譲らない。極めて単純だ。そのような声明や宣言はあり得ない。なぜなら、それには憲法の改正が必要だからだ」と訴えた。


 

根本的問題は未解決

一方、2019年から20年まで国防相を務めた軍事アナリストのアンドリー・ザゴロドニュク氏は、米国との関係が顕著に改善したことを成果に挙げつつ、根本的な問題は未解決だと指摘した。米国がロシアとの直接的な外交交渉を開始し、ウクライナ戦争に関する政策を大きく転換してから数週間が経過したが、その状態は今でも変わらないとの立場だ。

「ロシアが和平と引き換えに何を求めるのか、まだ分からない。米国がウクライナの立場を支持するのか、それともウクライナの主張は基本的にロシアほど重要ではないと考えるのか、それも分からない」と言う。

英王立国際問題研究所チャタム・ハウス9のロシア・ユーラシア・プログラムの上級コンサルティングフェロー、キール・ジャイルズ氏も同じ見方だ。「今の前線を固定することは、戦争が本当に終結するという長期的な保証のないままロシアに利益を与えてしまうリスクを伴う。それによってロシアが現在支配している地域が事実上恒久化された支配地域となり、紛争が解決されるのではなく凍結されることになりかねない」と話す。

ロシア政府は12日、米国からの停戦提案の詳細を待っていると発表した。一方、ロシア政府高官筋は、合意にはロシアの進軍状況が考慮され、ロシアの懸念が反映されるべきだと述べた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、堅調な雇用統計受け下げ幅縮

ワールド

トランプ氏誕生日に軍事パレード、6月14日 陸軍2

ワールド

トランプ氏、ハーバード大の免税資格剥奪を再表明 民
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単に作れる...カギを握る「2時間」の使い方
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    金を爆買いする中国のアメリカ離れ
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中