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トランプの「ディール外交」──ゼロサム的世界観を紐解く

A MORE ZERO-SUM WORLD

2025年1月23日(木)16時28分
ラビ・アグラワル(フォーリン・ポリシー誌編集長)

自由貿易とグローバリゼーションの最盛期、21世紀初頭の中国主導のコモディティ(1次産品)ブームを経て、「上げ潮は全ての船を浮き上がらせる」時代ではなくなった。

さらに気候変動という危機が立ちはだかるが、小国には自分たちを守るための資金がない。世界はますます保護主義色を強め、大規模な産業政策や国内生産を優先するようになる。

世界的な紛争が増えて大量の移民や食糧・コモディティ市場の不安定化を招き、最も小さな国が最も大きな混乱にのみ込まれる。


こうしたシナリオにおいて、より取引主義的な世界秩序が、古代ギリシャの歴史家トゥキュディデスの洞察を再現する。すなわち、強者はできることを行い、弱者は耐えなければならないことに耐えるのみだ。

バイデン時代は今や、トランプの「アメリカ・ファースト」という長いトレンドの中で一瞬の反動にすぎない。ジョー・バイデン自身が、自分のレトリックと行動の矛盾を隠そうとたびたび苦労してきた。

「期待外れ」は起こらない

21年1月の大統領就任から2週間後、バイデンは外交政策に関する演説で「アメリカは戻ってきた」「外交を(アメリカの)対外政策の中心に戻す」と宣言した。トランプ1期目は異常だったのだと、世界を安心させる言葉だった。

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