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トランプの「ディール外交」──ゼロサム的世界観を紐解く

A MORE ZERO-SUM WORLD

2025年1月23日(木)16時28分
ラビ・アグラワル(フォーリン・ポリシー誌編集長)

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1期目のG7サミットで当時のラガルドIMF専務理事と(18年6月) MICHAEL KAPPELERーPICTURE ALLIANCE/GETTY IMAGES

エコノミスト誌が昨年夏に世界30の国と地域で調査したところ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、スペインでは共和党より民主党の大統領を望む声が圧倒的だった。

ヨーロッパだけではない。同じくアメリカと防衛条約を締結している日本と韓国でも、トランプ以外の候補を支持する回答が多かった。


対照的に共和党の支持が上回ったのがエジプト、インド、インドネシア、ナイジェリア、サウジアラビア、ベトナムといった新興経済国だ。

驚くには当たらない。第1にこれらの国はアメリカと防衛条約を結んでいないから、条約を破棄すると脅される心配がない。第2に彼らはトランプ政権にリスクだけでなく、豊富なチャンスを見いだしている。

またこうした国の多くは欧米に人権や民主主義を押し付けられるのに辟易し、一方で高まる自国の影響力に物を言わせ、うまみの大きい取引を成立させたいとうずうずしている。

「共和党は価値観の統一より利害の一致を重視する」と、インドのサイード・アクバルディン元国連大使は言う。

「新現実主義を信奉する大国インドは、取引重視のトランプと渡り合う自信がある。ギブ・アンド・テイクが重要なら、われわれは与えることももらうこともできる」

経済規模が大きいほど、ギブ・アンド・テイクの機会は増す。

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