最新記事
核戦争

エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合の被害規模は想像を絶する

Nuclear Bomb Map Shows Impact of Russian Weapons on Major US Cities

2024年11月28日(木)19時50分
ジョーダン・キング

本誌はこれを用いてロシアがR-36M2を使用した場合の被害状況を調べた。R-36M2は史上最大・最強クラスの旧ソ連製の大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、NATOではSS-18サタンのコードネームで知られる。最大射程は約1万6000キロ。10個の独立した核弾頭を搭載できるため、核攻撃の威力を最大限に高められるICBMの1つと考えられている。

爆発時に発生する超高温の火の玉に収まる範囲(中心部の黄色い円内)の面積は約39平方キロ。ここでは数百万度もの超高温の熱により、あらゆるものが一瞬にして蒸発する。それを取り巻く濃いグレーの内側の円内は広さ1145平方キロ程で、爆発の衝撃は中心部よりは弱まるが、高層住宅などの建物が倒壊し、大規模な火災が発生すると予想される。

外側の大きなオレンジ色の円内は熱放射が及ぶ範囲で、広さは約6110平方キロ。この範囲にいる人は全て、皮下組織まで及ぶ3度のやけどを負うリスクがある。このやけどでは神経も損傷するため、痛みを感じないことが多いが、深い傷跡が残り、切断手術が必要になって、手足が不自由になる場合もある。

一番外側の薄いグレーの円内は広さ約9040平方キロ。爆発時の損害は比較的軽微で済むが、窓ガラスが破損するなどして、負傷者が出るとみられる。

本誌はこれについて米国防総省とロシア国防省にメールでコメントを求めている。

このシミュレーションでは、首都ワシントンなどアメリカの主要都市の上空で2万キロトンの核爆弾が爆発した場合の死傷者数を試算した。上空での爆発を想定したのは、核戦争などによる人類滅亡までの残り時間を示す「終末時計」を発表している「原子力科学者会報」が、都市に対する核攻撃では地上爆発型よりも空中爆発型が使われる確率が高いと述べているからだ。

ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英シュローダー、第1四半期は98億ドル流出 中国合

ビジネス

見通し実現なら利上げ、米関税次第でシナリオは変化=

ビジネス

インタビュー:高付加価値なら米関税を克服可能、農水

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中