最新記事
ネット

靖国落書きだけじゃない 偽装プロポーズや出産生中継までする中国のインフルエンサーたち

2024年10月1日(火)21時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
中国のドラッグクイーン系インフルエンサー、メイ・ジュアン

ドラッグクイーン系インフルエンサーのメイ・ジュアン 抖音重度患者 / YouTube

<生き馬の目を抜く中国のネットビジネス。インフルエンサーたちは目立つために必死だ>

ユーチューブをはじめとする動画配信サービスを使い、生配信で商品を紹介してネット通販を行うライブコマースが急成長した中国。それだけにライブコマースに出演するインフルエンサーの競争も激しく、彼らの多くがさまざまなトリッキーなことや無謀なことを行ってフォロワーを惹きつけようとしている。香港のサウスチャイナモーニングポストが伝えている。

靖国神社に落書きした「鉄頭」は私人逮捕系

今年5月、靖国神社の石柱に「Toilet」と落書きし、警視庁から器物損壊などで指名手配となり、8月浙江省杭州市の警察当局に別件の恐喝容疑で逮捕された中国人、董光明。「鉄頭(アイアンヘッド)」として知られる董は、インフルエンサーとして海産物市場の観光客を相手の詐欺や、スーパーマーケットの宝くじ詐欺などを暴露する映像を投稿して人気を集めたいわゆる「私人逮捕系」インフルエンサーだ。

彼の投稿のおかげで観光客は詐欺を避けることができ、董は見返りに数百万人のフォロワーと賞賛を得た。ところが当初の評判にもかかわらず、董はその後、他のライブ配信を行うインフルエンサーへ脅迫行為を行い、これが8月の杭州市の警察当局による逮捕に繋がったという。

ドラッグクイーン、メイ・ジュアン

Tiktokでフォロワー900万人以上をもつメイ・ジュアン(本名ハン・フェイ・チュアン)は奇抜な女装で人気者になった。彼は2021年、ボーイズグループメンバーを選抜するサバイバルオーディション番組「プロデュースキャンプ2021」に参加し、ユニークな発言で一躍注目された。奇抜で多少誇張されたメイクアップと華麗なかつら、甲高い独特な声でSNSで高い人気を集めている。

2000年に中国北東部の黒龍江省で生まれた彼は、生まれつき口唇口蓋裂で、14歳までに7回の手術を受けた。そのため、歌うことが好きだったものの、彼は手術を終えるまではうまく歌うことが出来なかったという。

彼の得意のネタは「すべての原因には結果があり、あなたの報復は私です。ダブルクリックするのを忘れないでください、チュッ!」というものだ。

結婚4回、離婚3回、出産生中継までするハン·アンラン

ハン·アンランはTikTokで350万人のフォロワーを抱える超人気女性インフルエンサー。結婚、離婚、出産など自分の私生活をライブ配信することで有名だ。彼女は16才のとき、リアリティショー「エックスチェンジ」に出演し「整形手術に年齢は関係ない」と発言して炎上した。

彼女は25歳にして4回の結婚と3回の離婚を経験。さらに数十回もの整形手術を受けるなど波乱に満ちた人生をありのままに公開した。2019年に第1子を出産したときには、分娩室からライブ配信を行って陣痛の様子を伝えたツワモノだ。この9月に第2子を出産したこともライブ配信で発表し、その場で自分が広告する商品を宣伝までした。その際には生後間もない赤ちゃんをパートナーのソン・ハオランが抱えている姿が映し出されたという。

プロポーズインフルエンサー、イン・シハン

中国最大のソーシャルECアプリ小紅書(シャオホンシュー)で140万人のフォロワーをもつイケメンインフルエンサー、イン・シハンはハン・アンランと同様にライブストリーミングを通じて有名になった。

彼は2020年から2021年までライブ配信でガールフレンドにプロポーズを4回も試み、同時に商品をライブコマースで販売して収益を上げた。彼がプロその後、彼の元恋人たちは「あのプロポーズは全てイン・シハンからお金を受け取って演じたもの」と、狂言だったことを暴露した。それでもイン・シハンは170万人以上の視聴者を集め、4500万人民元(約9億2000万円)の売り上げを記録、1600万元(約3億2700万円)を手にしたという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中