最新記事
ウクライナ戦争

ジェットスキーのロシア兵を、FPVドローンが「排除」...背後から追跡、爆発するまでの緊迫映像をウクライナが公開

Ukraine Eliminates Russian Soldiers on Jet Skis in Drone Strike

2024年9月30日(月)19時00分
ナタリー・ベネガス
FPVドローン

(写真はイメージです) Zysko Sergii-Shutterstock

<ドニプロ川をジェットスキーで移動していたロシア兵がFPVドローンの標的に。背後から迫り、仕留める映像が話題に>

ウクライナのニュースメディアが投稿した動画によると、同国軍は27日、ドニプロ川をジェットスキーで航行していたロシア兵をドローン攻撃で排除したようだ。

【動画】ジェットスキーで川を移動するロシア兵が「排除」される瞬間...FPVドローンが背後から追跡、爆発するまでの緊迫映像

ドローンは、2年半以上に及ぶロシアとウクライナのこの戦争を特徴づける兵器の一つとなっている。前線の上空を日々数百機のドローンが飛び交い、偵察から攻撃目標の設定までさまざまな任務を遂行している。また、自爆攻撃を仕掛ける「カミカゼ・ドローン」が敵の装甲車や兵士、陣地などを破壊している。

最もよく知られているのが安価なFPV(一人称視点)ドローンだ。ロシアとウクライナ双方がFPVで戦場上空からズーム撮影をしており、その映像がオンラインで日々公開されているのはよく知られている。標的に向かって突き進み、爆発と同時に映像が途絶える動画も多い。

ウクライナのニュースメディアUnited24 Mediaが27日にX(旧ツイッター)で公開した映像には、ウクライナ軍南部作戦管区がFPVドローンを使って、ジェットスキーに乗ったロシア兵をドニプロ川で排除する様子が映っている。

本誌はこの動画について独自に検証できておらず、ウクライナ国防省にメールでコメントを求めている。

双方ともにドローン生産を増強

今回のドローン攻撃は、ウクライナが陸海空でドローン作戦を増やす中で行われたものだ。ウクライナは、戦争開始当初から一貫してドローンを増産していることを明かしており、新たなモデルのドローンが定期的にソーシャルメディアで披露されている。

国防当局者が7月末に述べたところによると、同国のドローン生産能力は年間300万機以上で、さまざまな支援国からの資金援助がこれを可能にしているという。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2月、ドローン戦を専門とする「ウクライナ無人システム部隊」という部門を新たに設置すると発表した。「無人システム、ドローンの陸海空での戦闘における実力は証明されている」とゼレンスキーは述べた。

ロシア側の生産能力も侮れない。米ワシントンDCを拠点とする非営利の調査分析組織「海軍分析センター(CNA)」のドローン専門家、サミュエル・ベンデットが2023年12月に本誌に述べたところによると、ロシアの国営ならびに関連メーカー、さらには有志がFPVドローン開発を「大幅に強化」しており、毎月恐らく数万機のFPVがロシア軍に提供されている可能性が高いという。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日、24年の1年間のドローン生産能力を昨年の10倍近くに引き上げると発表した。23年にロシア軍に提供された無人航空機(UAV)はおよそ14万機だったとされる。

本誌はロシア国防省にもメールでコメントを求めている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中