最新記事
子育て

「アドバイス」はいらない...子が親に求める「本当の支援」

Gen Z Reveal What They Want From Parents

2024年8月1日(木)13時40分
ダニエラ・グレイ
Z世代が親に求める本当の支援 Rich Soul-Unsplash

Z世代が親に求める本当の支援 Rich Soul-Unsplash

<親が子供の本心を理解する難しさが、若者の感情と心の安定方法に関する調査で浮き彫りになった>

子供は自分の気持ちを素直に打ち明けてくれるとは限らない。親にとっては本心を探るのが難しいこともある。

そんな中、1997年~2012年に生まれたZ世代の感情や心を落ち着ける方法に脚光を当てた最新調査が発表された。

子供が求めているのは「アドバイス」ではない

調査はウォルトンファミリー財団とギャラップが10~18歳の1675人と、その親や保護者を対象に実施。ほとんどのZ世代は日々の幸せを感じている半面、相当数がストレスや不安、悲しみを抱えていることも分かった。

同財団と協力している心理学者のリサ・ダムールは、この調査から多くのことが分かったと本誌に語った。特に注目すべきは、幸せを感じると答えたZ世代が最も多いことだった。

「10代は素っ気なく思えることもあるけれど、子供が不機嫌な時は、大人に耳を傾けてほしい、自分の気持ちを真剣に受け止めて、そっとしておいてほしいと思っている時だということを、この調査は教えてくれる」

ダムールはそう語り、「優しい大人はアドバイスしようとしがちだが、苦しんでいる子供が求めているのは大抵の場合、アドバイスではないことを、この調査は物語る」と言い添えた。

10代の子供が「自分を落ち着かせる」方法

調査対象の若者の94%は幸せを感じることが多いと答えていたが、同時に45%はストレスを、38%は不安を、23%は悲しさを感じると訴えていた。

そうした負の感情は、特に女子や10代後半に多かった一方で、黒人の若者は少ない傾向があった。

注目すべきは、苦しい時の自分を親にどう支えてほしいかという質問に対するZ世代の回答だった。

62%は「親に求めるのはアドバイスではなく、話を聞いてもらうこと」と答え、56%は「そっとしておいてほしい」と回答した。

「10代の子供が不機嫌な時は、その感情に対処しようとさまざまな適応戦略を講じる」とダムールは言う。

自分を落ち着かせるためにZ世代は、音楽を聴く(58%)、ゲームをする(45%)、友達と話す(45%)など、さまざまな形で対応していた。

「10代の子供が音楽を聴いたり、ゲームで一時的に気を紛らわしたり、友人とつながったりすることの感情的価値を、大人は低く見てしまいがち。しかしそうした全ては10代が不快な感情をうまく処理するための手段でもある」(ダムール)

さらにZ世代の3分の1は、完璧でなければならないというプレッシャーを感じていると答え、女子の方がその傾向が強かった。

同調査では、直接的な介入よりも、話を聴くことと共感することを重視して心の支えになる均衡の取れたアプローチを促している。

(翻訳:鈴木聖子)

ニューズウィーク日本版 豪ワーホリ残酷物語
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月9日号(9月2日発売)は「豪ワーホリ残酷物語」特集。円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代――オーストラリアで搾取される若者のリアル

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

金正恩氏が列車で北京へ出発、3日に式典出席 韓国メ

ワールド

欧州委員長搭乗機でGPS使えず、ロシアの電波妨害か

ワールド

ガザ市で一段と戦車進める、イスラエル軍 空爆や砲撃

ワールド

ウクライナ元国会議長殺害、ロシアが関与と警察長官 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあるがなくさないでほしい
  • 3
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世界的ヒット その背景にあるものは?
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    BAT新型加熱式たばこ「glo Hilo」シリーズ全国展開へ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中