最新記事
高速鉄道

中国「一帯一路」の高速鉄道を欧州の親ロシア諸国首脳が「奇跡」と絶賛

Chinese High-Speed Rail Project in Europe Hailed as 'Miracle'

2024年6月11日(火)16時57分
ジェームズ・ビッカートン

中国の高速鉄道「復興号」のメンテナンス作業(5月31、江西省九江市の九江科技駅)Photo by Costfoto/NurPhoto

<いずれもロシアと親しいハンガリーとセルビアを結ぶ高速鉄道を中国が請け負う政治力>

セルビアの首都ベオグラードで6月7日、ハンガリーと同国を結ぶ高速鉄道路線を走る予定の車両のお披露目があり、アレクサンダル・ブチッチ大統領は路線の建設に携わっている中国企業を称えた。

【動画】高速列車が普通電車を抜き去る速さが驚異と中国で拡散された

ベオグラードとハンガリーの首都ブダペストを結ぶ高速鉄道路線は、ヨーロッパにおける中国の「一帯一路」経済圏構想の一環だ。アジアからアフリカ東部、東ヨーロッパにかけての広い範囲のインフラを開発するという大がかりな計画で、2013年に中国政府が発表した。中国政府の影響力強化を目指す試みの一つでもある。

 

中国はセルビアとハンガリー両国との関係強化に努めており、5月にヨーロッパを訪問した習近平国家主席も、フランスに続いて両国を訪れた。両国ともに、中国にとっては重要な友好国であるロシアと良好な関係を維持している(ハンガリーはEUとNATOの加盟国であるにもかかわらずだ)。

中国国営新華社通信によれば、7日にベオグラードでお披露目された列車の最高時速は200キロ。定員は250人だという。

ブチッチはこの場で、セルビアが中国中車(CRRC)にこの列車を5編成、発注したと明らかにした。

自前で車両の製造もやりたい「本音」

ブチッチは述べた。「契約では、2025年末までに全ての車両が納入されることになっている。われわれは9月、遅くとも11月中にはベオグラード-スボティツァ間で試験走行を行う。そのときはこの列車に乗れるかもしれない」

ブチッチは高速鉄道路線の建設にあたっている中国企業にも言及した。「特に中国交通建設(CCCC)には感謝したい。同社はたぶん、セルビアで仕事をした企業の中で最高の企業だ。まさに奇跡であり、関係者の働きぶりはすばらしい」

建設には複数の中国企業が関わっており、すでにセルビア第2の都市ノビサドとベオグラードを結ぶ区間は完成しており、ハンガリーとの国境に近いスボティツァまでの区間も12月までに完成の予定だ。ブダペストまで開通すれば、路線の全長は350キロメートルになる。

ブチッチはまた、セルビアが自力で列車を製造できるようになることへの期待を示した。「わが国は最高品質の非常に美しい列車を輸入しているが、遠くない未来に自分たちでも列車を作れるようになればと思う。それはセルビアの成長にとっては非常に重要なことになるだろう」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア、半導体密輸対策に役立つ位置確認技術構

ビジネス

26年の最大のテールリスクはAI巡るサプライズ、ヘ

ワールド

インドネシアとの貿易協定、崩壊の危機と米高官 「約

ビジネス

米エクソン、30年までに250億ドル増益目標 50
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 4
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中