最新記事
インタビュー

単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日本経済の現実...物価対策、移民政策への考えとは?

COMPLEX CHALLENGES AHEAD

2024年5月4日(土)20時51分
構成:トム・オコナー
岸田文雄首相インタビュー

岸田首相へのインタビューを行った右手前からプラガドCEO、クーパー編集長、オコナー副編集長 PHOTOGRAPH BY HARUO MOTOHASHI

<訪朝、台湾有事、円安・インフレの出口......。ニューズウィーク米国版単独取材で、岸田首相が語った「次の日本」>

4月上旬にアメリカの首都ワシントンを訪れ、ジョー・バイデン米大統領との首脳会談を終えて帰国した岸田文雄首相は同月17日、東京の首相官邸で本誌の独占インタビューに応じた。本誌側の出席者はデブ・プラガドCEOとグローバル編集長のナンシー・クーパー、外交担当副編集長のトム・オコナー。

約40分のインタビューで、岸田は日本が直面する数々の困難について率直に語り、しかし自分の立ち上げた複数のイニシアチブがあれば、この先に待ち受ける難局も乗り越えられると自信たっぷりに語った。以下はその要旨。

──今回の訪米では何が話し合われ、どんな収穫があったのか?

今回は日本の総理大臣として9年ぶりに国賓待遇でアメリカを訪問した。今、国際社会は歴史的な転換点を迎えている。こうした状況を踏まえ、改めて日米関係の重要性が指摘されているなかで、私はアメリカを訪れることができた。

今回の訪米を通じて、このように先の見えない国際情勢の下でも、日米両国は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持・強化する上で非常に重要なグローバルパートナーであることを確認できた。

また安全保障や経済、そして宇宙を含む先端科学技術の分野で、日米両国には強い絆があることを確認できたと思う。それが今回の訪問の収穫の1つだ。

さらに、私は米議会の上下両院合同会議でスピーチをした。日米両国がグローバルパートナーとして、次の世代にどのような世界を引き継いでいくのか、そのために日米両国はどのようなことに取り組むべきなのか、私の考えを述べた。

その結果、私が伝えた未来志向のメッセージは議員の皆さんから幅広い支持、拍手、そして意見を得ることができた。有意義なスピーチだったと思う。

さらに今回の訪米では、ノースカロライナ州にも足を延ばした。日米関係は首脳や政府レベルだけのものではない。地域の経済に目を向ければ、非常に幅広い層の方々に支えられている。

つまり、日米関係は広範な分野の、実に多くの人々に支えられている。そのことを、今回は具体的な形で感じ取ることができた。

──2021年に日本の首相に選ばれて以来、あなたは広範囲にわたる改革に取り組んできた。日本のリーダーとして、何に優先的に取り組んでいるのか。また、そこでの重要な課題は何だと思われるか。

私が総理大臣となったのは2年半前だが、当時はまだ新型コロナウイルス感染症の蔓延と戦っていた。だから、まずはコロナ対策が大事だった。しかし昨年の段階で、コロナ関連の状況は正常化することができた。

同時に、私は経済の問題に取り組んできた。安全保障や外交の問題にも同様に注力してきた。また日本の抱える少子化や人口問題に対処するための子ども・子育て支援にも取り組んでいる。

ロシアによるウクライナ侵攻に端を発する世界的なエネルギー危機は日本にとっても大きな問題だ。私は、原子力も含め、あらゆる選択肢を排除することなく、日本のエネルギー政策を幅広く進めていくという大きな方針を示してきた。

岸田文雄首相

首相官邸で本誌とのインタビューに臨む岸田首相(4月17日) PHOTOGRAPH BY HARUO MOTOHASHI

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ249ドル安 トランプ関税

ワールド

トランプ氏、シカゴへの州兵派遣「権限ある」 知事は

ビジネス

NY外為市場=円と英ポンドに売り、財政懸念背景

ワールド

米軍、カリブ海でベネズエラ船を攻撃 違法薬物積載=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    トランプ関税2審も違法判断、 「自爆災害」とクルー…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中