最新記事
ウクライナ戦争

ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施も、爆撃で「撃退」される...ウクライナ政府が動画公開

Avdiivka Video Shows Ukraine Thwart Largest Russian Armor Assault in Months

2024年4月5日(金)17時49分
エリー・クック
ウクライナがロシア戦車攻撃を撃退

破壊されたロシアの戦車(2022年4月) Drop of Light/Shutterstock

<東部ドネツク州アウディーイウカからの西進を狙うロシアだが、ウクライナの激しい抵抗で多くの戦闘車両を失っている>

開戦から2年を超えたロシアとウクライナの激戦の中で、過去最大の規模とされるロシア軍の「戦車攻撃」が実施され、これをウクライナ軍が撃退したとウクライナ政府が発表した。ロシア軍機甲部隊を撃退するシーンだとされる映像もあわせて公開され、そこにはロシアの戦車が次々と爆撃によって破壊される様子が収められていた。

■【動画】ロシアが実施した過去最大級の「戦車攻撃」...ウクライナ空挺部隊が連続爆撃で「撃退」するシーン

ウクライナ国防省が4月1日に発表したところによると、ウクライナ軍の第25独立空挺旅団に所属する空挺部隊が、東部ドネツク州アウディーイウカの真西に位置する村トネニケ近郊で、ロシアの「大規模」攻撃を阻止した。本誌はこの映像を独自に検証することができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めている。

ロシア軍は2月半ば、戦略的に重要な都市アウディーイウカを制圧。以後、同都市の西側で激しい戦闘が続いている。ロシア政府は、アウディーイウカを支配下に置いて以降、周辺の村々を奪取したと発表しており、ウクライナを支援する国々の間では、ウクライナがロシア軍による西への侵攻を阻止できないのではないかと懸念する声が広がっている。

こうした懸念を払拭する狙いもあったのか、ウクライナ国防省は、ロシア機甲部隊による攻撃に第25独立空挺旅団が反撃しているところとみられる動画を公開しつつ、ウクライナ空挺部隊は、ロシア軍の戦車4台と歩兵戦闘車2台を破壊したと述べた。

第25独立空挺旅団「敵の車列を破壊した」

第25独立空挺旅団も4月1日にこの動画を公開し、同旅団の兵士が「敵の車列を破壊した」と述べた。その短い動画を見ると、何度か爆発が起きて、何台もの車両が火に包まれている。車列は、向かってくる砲火を逃れようとしていたようだ。実際にこの動画は、ウクライナ東部の領土獲得を目指すロシア軍が、どれほど多くの戦闘車両を失っているかを浮き彫りにするものと言えるだろう。

ウクライナのあるオープン・ソース・インテリジェンスのアカウントが3月31日に伝えたところによると、ウクライナは3月30日、トネニケ近郊で、ロシア軍の戦車36台、歩兵戦闘車12台による大規模攻撃を撃退した。

ウクライナ戦争の進展を日々追跡している米シンクタンク戦争研究所(ISW)は、トネニケ近郊におけるロシア軍の攻撃について、ロシアが2023年10月にアウディーイウカを攻撃し始めて以来「初となる大隊規模の機械化攻撃」だと述べた。ウクライナ紛争における戦車大隊は通常、戦車30台以上で構成される。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:無難入札に「クジラ」の影、株高が支える債

ワールド

インド、国境問題の「恒久的解決」呼びかけ 中印国防

ビジネス

米の中国製品需要、関税休戦でも回復鈍く コンテナ運

ビジネス

ECBはインフレ目標変更すべき、裁量的支出に焦点を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉仕する」ポーズ...アルバム写真に「女性蔑視」批判
  • 3
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事実...ただの迷子ですら勝手に海外の養子に
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 6
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中