最新記事
ウクライナ戦争

ウクライナのドローンがロシアの戦車を攻撃...乗り捨て逃げる兵士たちの姿

Ukraine Touts Drone Attacks as Russia Abandons Tank Near Avdiivka: Video

2024年2月9日(金)17時40分
エリー・クック
@sternenko-x

@sternenko-x

<ロシア兵はウクライナ軍に対する作戦を続行しようとしていたが、戦車からの退避を余儀なくされた>

4カ月近くにわたってロシア軍の猛攻が続くウクライナのドネツク州アウディーイウカ近郊で、ロシア軍の戦車がウクライナ軍のドローンに攻撃され、兵士が戦車の放棄を強いられる場面とされる映像が新たに公開された。

【動画】ウクライナのドローンがロシアの戦車を攻撃...乗り捨て逃げる兵士たちの姿

映像はウクライナ軍が前線で使用するドローンのための資金を調達しているウクライナ人活動家、セルヒー・ステルネンコが2月6日、X(旧ツイッター)に投稿した。

ステルネンコによると、「アウディーイウカ近郊でロシア軍が戦車から砲撃した」。続いてウクライナ軍のドローンがロシア軍の戦車を攻撃。ロシア兵はウクライナ軍に対する作戦を続行しようとしていたが、戦車からの退避を余儀なくされた。雪に覆われた状態で砲撃を続けていた戦車は動けなくなり、兵士たちはその戦車を乗り捨てた。

この映像はウクライナの第47独立機械化旅団が撮影した。同旅団はロシア軍が昨年10月10日にアウディーイウカでウクライナの拠点に対する攻撃を開始して以来、数カ月にわたって同地で戦闘を続けてきた。

本誌はこの映像について独立した立場から検証することはできなかった。ロシア国防省と第47独立機械化旅団には電子メールでコメントを求めている。

ウクライナ軍は、前線の激戦地でロシア軍を攻撃するドローン部隊の戦闘映像を頻繁に投稿している。昨年12月には、ウクライナの安物ドローンの攻撃を受け、ロシア兵が貴重なT-90戦車を乗り捨てて逃げる場面とされる映像をウクライナ軍が公開した。この映像を撮影したのも第47独立機械化旅団だった。

「ドローンがいつも戦車を破壊できるとは限らない」とステルネンコは言う。「だが戦車はドローンで攻撃する必要がある」

ロシアが2022年2月に全面侵攻を開始して以来、ウクライナは「ドローン軍団」を結集させ、新型の無人機を開発し、増強のための資金を集めている。ドローンは偵察支援から自爆攻撃、砲撃の誘導に至るまで、戦闘のほぼ全局面をカバーする。

ウクライナの戦闘員は自爆ドローンを頻繁に投入し、ロシアの装甲車や、頑丈な主力戦車でさえも狙い撃ちにする。自爆ドローンは安価で市販の部品が使えることも多く、敵の車両や兵士に対して威力を発揮する。

アウディーイウカ周辺ではロシアが高い代償を払って進攻を続ける中、双方が集中的にドローンを配備している。第一陣で相次ぎ装甲車や戦車を失ったロシア軍は、歩兵団を主力とする攻撃へと切り替えた。

英国防省の2月5日の発表によると、ロシア地上軍はウクライナで昨年10月初旬以来、主力戦車およそ365両と、装甲戦闘車両700両を失った。2024年1月半ば、アウディーイウカを管轄するウクライナのタブリア戦線で指揮を執るオレクサンドル・タルナフスキー准将は、アウディーイウカ周辺の原野に散乱するロシア軍の車両を写したとされる写真を投稿した。

(翻訳:鈴木聖子)

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


東京アメリカンクラブ
一夜だけ、会員制クラブの扉が開いた──東京アメリカンクラブ「バンケットショーケース」で出会う、理想のパーティー
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中