最新記事
中国

イスラエルもびっくり、ハマスの武器庫に中国製の武器が

China's Envoy Completes Middle East Swings but Israel-Hamas War Rages On

2024年1月9日(火)18時13分
マイカ・マッカートニー

基地開放日、子供に自動擲弾銃の使い方を教える人民解放軍兵士(2008年、香港駐屯地) REUTERS/Victor Fraile

<果たして中国は、これらの武器がハマスの手に渡ることを知っていたのか否か。その答えによっては、中東情勢が大きく動く可能性がある>

イスラエルは、ハマスが中国製の最新鋭兵器を保持するようになった経緯を調べている、という新しい調査報告書を発表した。

イギリスのテレグラフ紙は1月5日、イスラエル国防軍(IFD)が、ハマスの武器庫に隠された中国製の武器を発見したと述べたと報じている。これらの武器のなかには、M16アサルトライフル用の弾と照準器、自動擲弾銃、通信機器が含まれるという。

 

開戦から4カ月目に突入したこのイスラエル・パレスチナ紛争は、10月7日にイスラム組織ハマスの戦闘員がイスラエルのキブツなどを襲撃して誘拐、レイプ、殺人をおこない、約1200人が死亡した事件がきっかけだった。イスラエルは直ちに報復攻撃を開始、ハマスが実効支配するガザ地区ではこれまでに2万3000人近い住民が殺害され、5万8000人以上が負傷したと、ガザ地区の保健当局は述べている。

ハマスの実力を上回る武器

英紙テレグラフは、イスラエル諜報筋の発言として、中国製兵器の備蓄は驚きであり、「中国から直接ハマスへ送られたのか否か」という重要な疑問が持ち上がっていると伝えている。

この諜報筋によれば、発見された装備の規模と性能は、ハマスのそれまでの装備を上回るものだったという。

「言うまでもないが、問題は、中国はこれらの武器がハマスの手に渡ることを知っていたのか、それとも、イランなどの第三者を経由してきたのかということだ」。元NATO情報分析官のパトリック・ベリーは同紙にそう語った。

ベリーが疑問を抱いているのは、自動擲弾銃のような「専門性の高い歩兵部隊用の新型装備」が、親パレスチナの武装組織の手に渡った経緯だ。ベリーによれば、イランがハマスに訓練や資金を提供し、装備移転で「少なくともなんらかの役割」を果たしている可能性は高いという。

イスラエルは2023年11月、いくつかの武力衝突において、ハマスが出所不明の新兵器を使ったと報告していた。この件についてIDFにコメントを求めたが、詳細は明かされなかった。

本誌は、中国とイランの外務当局とイスラエル国防省にそれぞれ書面でコメントを求めたが、返答は得られていない。

12月には、中国のマイクロブログサイト「微博(微博)」で、ある軍事ブロガーが、イランが支援するイエメンのフーシ派は中国の技術を応用した対艦ミサイルを使用していると示唆したことで波紋を巻き起こした。フーシ派は親イランの武装組織で、ガザとの連帯を示すために紅海でイスラエルと関係する商船を攻撃している。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

コロンビアのウリベ上院議員が死亡、6月に銃撃 大統

ワールド

韓国・ベトナム首脳が会談、経済協力深化を表明 貿易

ワールド

イスラエル、アルジャジーラ記者を殺害 ハマスのリー

ビジネス

エヌビディアなど、対中半導体収入の15%を米政府に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 2
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
  • 3
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋肉は「光る電球」だった
  • 4
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 7
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 10
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中