最新記事
ウクライナ情勢

Su-34戦闘爆撃機3機が撃墜された後、ロシア軍が空爆の規模を縮小。ウクライナの防空システムを警戒か

Russia Pulling Back on Air Strikes After Series of Plane Losses: Kyiv

2023年12月26日(火)19時13分
アンダース・アングルジー
モスクワ上空を飛ぶSu-34

戦勝記念日の軍事パレードでモスクワ上空を飛ぶSu-34(2015年5月9日)  REUTERS/Host Photo Agency/RIA Novosti

<ウクライナ空軍によると、「SU-34は最初、思い上がっているように見えた。ウクライナ陣地奥深くまで入ってきて、それが裏目に出た」という>

アメリカのシンクタンク、戦争研究所(ISW)は、ウクライナ空軍の報道官らの話を引用する形で、ウクライナの前線における空爆の規模をロシアが縮小していると伝えた。これは、ウクライナ軍が12月21日以降、ロシア軍用機を複数撃墜したことを受けた動きだという。

ISWは、12月24日付のレポートで、こう述べている。「ウクライナ空軍の報道官を務めるユーリー・イーナット大佐は12月24日、ロシア軍はウクライナ南部における滑空爆弾の使用や空爆の規模を縮小していると述べた」


こうした縮小の動きは、ウクライナ軍が12月21日から22日にかけて、ロシアのSu-34(スホーイ34)戦闘爆撃機3機を撃墜したと発表した後、明らかになったものだ。その後24日には、複数のウクライナ軍幹部が、同国軍はさらにロシアの戦闘機2機を破壊した、と発言した。25日のウクライナ軍参謀本部の発表では、ウクライナの防空システムがロシアの軍用機Su-30およびSu-34を破壊したという。

有人飛行機の使用を抑制

ロシアの戦闘機は、最長で標的から72キロも離れた場所から滑空爆弾を発射することができる。そのため戦闘機自体はウクライナの対空ミサイルにさらされる可能性が低い。「その滑空爆弾の使用が減っている。これは相次いで戦闘機を喪失したことで、ロシア軍がウクライナの防空能力に警戒感を持っていることを示唆する」と、ISWは報告している。

さらにISWは、ロシア軍がクリミア半島付近、特に黒海北西部で有人航空機の使用を抑制している、というウクライナ軍ウォッチャー、コスチャンティン・マショヴェツの、12月24日の発言を引用した。

ウクライナ陸軍の報道官を務めるウォロディミル・フィチオ中佐は12月23日、ウクライナ東部のクピヤンシクおよびバフムト付近で、ロシア軍が戦闘機の使用を減らす一方、攻撃用ドローンの使用を増加させていると述べた。

ウクライナ空軍は、21日から22日にかけてウクライナ軍がロシア軍の戦闘爆撃機3機を撃墜するまで、前線に爆弾を投下しようとするロシア軍のパイロットには「思い上がり」があったとして、以下のように指摘した。

「彼らはうぬぼれて、(標的に)近づくため防衛陣地深くに入り込み、誘導爆弾で我々の部隊を攻撃しようとした」と、ウクライナ空軍報道官のイーナットは述べた。「だが、どうしても爆撃したいと思うと、(標的)に近づく必要がある。彼らはリスクを取り、それが裏目に出た」

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

国内企業物価5月は前年比2.4%上昇、39カ月連続

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、イベント前のポジション調

ワールド

バイデン氏のガザ停戦案、ハマスが主要部分拒否か 正

ワールド

EUが主要ポストで合意図る、フォンデアライエン氏続
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 2

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬で決着 「圧倒的勝者」はどっち?

  • 3

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 5

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 6

    長距離ドローンがロシア奥深くに「退避」していたSU-…

  • 7

    たった1日10分の筋トレが人生を変える...大人になっ…

  • 8

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 10

    【衛星画像】北朝鮮が非武装地帯沿いの森林を切り開…

  • 1

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が34歳の誕生日を愛娘と祝う...公式写真が話題に

  • 2

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 3

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車が、平原進むロシアの装甲車2台を「爆破」する決定的瞬間

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 6

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 7

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 8

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品…

  • 9

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 10

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中