最新記事
ウクライナ戦争

またやられてる!ロシアの見かけ倒し主力戦車T-90Mの長い断末魔

Video Shows Destruction of Russia's Advanced T-90 Tank: 'Just Disappeared'

2023年11月22日(水)17時15分
エリー・クック

ロシア軍が誇るT-90Mの残骸はウクライナ軍の大きな勲章(2022年5月9日、ウクライナ東部ハルキウ州) REUTERS/Vitalii Hnidyi

<T-90Mに最新鋭のT-14アルマータ、ロシアの新型戦車の出来は実に素晴らしい、実戦に出るまでは>

<動画>ロシアが誇る最新戦車T-90Mの断末魔

ウクライナとロシアの双方が地面の凍結する冬の到来を待つなか、新たな動画が浮上した。ウクライナ軍のドローンが前線でロシアの期待の星だった最新式戦車「T-90M」を破壊した動画だ。無敵と思われた同型戦車は断末魔のようにもがき苦しみ、突如炎に包まれたかと思えば一瞬で鉄屑と化す。

この動画が撮影された時期と場所、戦車がロシア軍のものかどうかについては、ニューズウィークの独自の取材では確認できなかった。

 

T-90戦車が破壊される姿は最初こそ衝撃的だったが、今ではさほど珍しくない。これまでにもネット上に多く出回っており、ウクライナ軍にとっては格好のプロパガンダになってきた。8月中旬には、ドローン攻撃を受けて崖から転がり落ちるT-90の動画が公開された。10月下旬にはウクライナ国防省が、爆発物を積んだドローンがT-90を攻撃する動画を公開した。

別名「プロリフ(突破)-3」と呼ばれるT-90M戦車を、ロシアは自賛してきた。ロシア国営メディアは2022年12月下旬、T-90Mが初めてウクライナに配備されたことを高らかに報じている。「T-90戦車ファミリーのなかでも最新鋭の装甲車両であり、現代の戦場における作戦に最も適している」と、タス通信は書いた。新型の強力な弾を発射できる125mm砲とミサイルを搭載しており、夜間でも稼働でき、ほかの戦闘車両と通信するための高度な通信システムも備えている、と。

タス通信によれば、T-90Mの装甲は、英国軍をして「革命的」と呼ばしめた別の戦車「T-14アルマータ」と同じ頑丈なものだったはずなのだが。もっとも、かつては並外れた戦車と思われていたT-14は、取り扱いが複雑でトラブルが多いために配備の遅れに悩まされており、これもロシア軍にとって期待外れであることが明らかになっている。

軍事技術と防衛を専門とするマイケル・ペックは2023年3月、本誌の取材に対し、T-90Mは「一見すばらしいが、ロシアの戦車はいつも良く見える。実践で使われるものは」と語った。

ロシアがウクライナで失なった戦車はかなりの数にのぼると見られる。オランダのオープンソース・インテリジェンス軍事情報サイト「オリックス(Oryx)」によれば、 2022年2月24日から2023年10月はじめにかけて、ロシアは少なくとも2472両の戦車をウクライナで失ったという。その数字のうち50両はT-90Mだ。そのほか、34両のT-90Aが、破壊されたか、損傷を受けたか、鹵獲もしくは放棄された。

(翻訳:ガリレオ)

日本
【イベント】国税庁が浅草で「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベントを開催。インバウンド客も魅了し、試飲体験も盛況!
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:無人タクシー「災害時どうなる」、カリフォ

ワールド

中国軍、台湾周辺で「正義の使命」演習開始 実弾射撃

ビジネス

中国製リチウム電池需要、来年初めに失速へ 乗用車協

ビジネス

加州高速鉄道計画、補助金なしで続行へ 政権への訴訟
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中