最新記事
米政治

第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディが撃たれた直後、妻のジャッキーが言ったこととは?

Jackie’s Final Moments With JFK

2023年11月16日(木)13時50分
ビリー・シュワブ・ダン(エンターテインメント担当)
リムジンに乗ったケネディとジャッキー。前列にはテキサス州知事夫妻が同乗した UNIVERSAL HISTORY ARCHIVEーUNIVERASL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES

リムジンに乗ったケネディとジャッキー。前列にはテキサス州知事夫妻が同乗した UNIVERSAL HISTORY ARCHIVEーUNIVERASL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES

<事件60周年の節目に制作されたドキュメンタリーで、一部始終を目撃したシークレットサービスが証言>

第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディが暗殺されたのは1963年11月22日のこと。事件から60周年を迎えるに当たってナショナルジオグラフィックは、ドキュメンタリー番組『JFK:アメリカを襲ったあの日の出来事』を制作した。暗殺事件直後の状況が、記録写真や映像(一部は今回初めてカラー化された)、そして関係者のインタビューを通して語られる。

本誌は放送に先駆け、大統領の妻ジャクリーン(愛称ジャッキー)の警護を担当したシークレットサービス・エージェントの証言ビデオを見ることができた。その一部を紹介しよう。

【動画】ドキュメンタリー番組『JFK:アメリカを襲ったあの日の出来事』公式トレイラー

彼の名前はクリント・ヒル。91歳で今も健在だ。テキサス州ダラスをパレード中にケネディが暗殺された時、ヒルも同じ車列にいた。

ケネディがテキサス州を訪れたのはそもそも、同州の民主党内部の不和を収めるためだった。11月22日に行われたパレードはダラス市内を走るルートで、群衆からケネディがよく見えるように計画されていた。ケネディはこの訪問を、翌年の大統領選挙の非公式なスタートとして位置付けていたのだ。

リムジンにはジャッキーと、テキサス州知事のジョン・コナリーとその妻のネリーが同乗した。ケネディが元米海兵隊員のリー・ハーベイ・オズワルドに狙撃されるや、当時31歳だったヒルはシークレットサービスが乗る後続車を降りて駆け出し、リムジンに飛び乗った。そして車が病院に急行する間、覆いかぶさるようにしてジャッキーと大統領を守った。

「ジャックと一緒にいる」

狙撃から30分ほどで、大統領の死が宣告された。病院にいたヒルに、大統領の弟であるロバート・F・ケネディ司法長官が電話をかけてきたが、ヒルはロバートに大統領の死を伝えようとはしなかった。電話口で言うのがはばかられたからだ。

番組の中でヒルは、ケネディの遺体を大統領専用機エアフォースワンに運ぶ道すがら、ジャッキーは夫のそばから離れようとしなかったと語った。

「看護師たちが大統領を白いシーツで包み、ひつぎに安置した。私たちはひつぎを運び出して霊柩車の後部に置いた。私は夫人のほうを向いて『ケネディ夫人、すぐ後ろの車で参りましょう』と言った。すると彼女は『駄目、絶対に駄目。ヒルさん、私はジャック(大統領の愛称)と一緒にそこに乗っていくわ』と言った。そして霊柩車の後部に這(は)うようにして乗り込んだので、私も一緒に中に這っていった」

「そんな訳で霊柩車の後部にケネディ夫人と2人でいたのだけれど、ちょっとばかり狭苦しかった。エアフォースワンが待つラブフィールド(空港)まで車で移動した」

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃伴う演習開始 港湾など封

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補

ワールド

尹前大統領の妻、金品見返りに国政介入 韓国特別検が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中