イスラエル軍もハマス軍事部門も「直面したことがない事態」...イスラエル精鋭部隊「サエレット・マトカル」はどう動くのか?

A RESCUE OPERATION LIKE NEVER BEFORE

2023年11月2日(木)14時25分
トム・オコナー、デービッド・ブレナン(いずれも本誌記者)

231107P46_CMD_03.jpg

ガザ侵攻に備えるイスラエル軍 MOSTAFA ALKHAROUFーANADOLU AGENCY/GETTY IMAGES

救出を難航させる情報不足

人質奪還の任務は、情報の不足によってより複雑なものとなっている。総面積約365平方キロのガザ地区の人口は約220万人。イスラエル軍の空前の攻撃を受け、地元当局によれば死者は7000人を超えている。

イスラエル国防軍の情報部門にとって、今回の作戦がガザ地区から完全に撤退した05年以降で最大の試練になることは間違いない。

地上戦の指揮官は「現地の状況について手元の知識で最善を尽くすしかない」とアミドローは言う。今回の場合は「人質の居場所が分からないし、作戦計画でそれを計算に入れてもいない」。

イスラエル軍もハマスの軍事部門も「このような事態に直面したことはない」と、元国防軍情報部パレスチナ問題担当部長のマイケル・ミルシテインは本誌に語った。

「ハマスに関しては人質の全員、もしくは大半がトンネルの中にいると私はみている」と、彼は言う。「ハマスはガザ地区の地下に、非常に強固で複雑なトンネル網を築いている。ハマスの指導者とメンバーの大半は今もそこにいるはずだ」

イスラエルは以前にも、ガザで人質事件の危機に直面したことがある。06年にイスラエル国防軍の兵士ギルアド・シャリットは、越境偵察の途中でパレスチナの戦闘員に拉致された。

救出は行われず、彼は5年以上ガザで拘束された後、1000人以上のパレスチナ人受刑者と引き換えに解放された。

かつてサエレットを指揮したアビタルは、あのとき兵士の救出を試みなかったのは拘束状況の詳細について「われわれに何の手掛かりもなかった」ためで、ハマスやその他の勢力は「情報が外に漏れないように厳しく管理していた」と語る。

では今回、サエレットはどのような結果を出せば「勝利」といえるのだろう? 

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、2月は1.8%上昇 インフレ

ワールド

イスラエル外相、イランとの戦い「すでに勝利」、目標

ワールド

トランプ氏訪中延期、イラン情勢受け 習氏との会談5

ワールド

トランプ氏、NATO消極姿勢を非難 イラン作戦巡り
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 6
    「目のやり場に困る...」グウィネス・パルトロウの「…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 9
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 8
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中