最新記事
ウクライナ情勢

<動画>ウクライナ軍ドローンが、「奪還」したドニプロ川東岸でロシア軍を蹂躙

Russian APCs Destroyed in Birds of Magyar Ambush: Video

2023年10月31日(火)19時52分
エリー・クック

ロシア兵の墓場? ドローンの餌食になっている装甲兵員輸送車(写真は6月23日、ワグネルの乱でロシア南部の街ロストフ・ナ・ドヌーに出てきたところ) REUTERS

<一度はロシアに奪われた東岸への渡河作戦を成功させ、拠点を築きつつあるウクライナ軍の姿とみられる>

ウクライナ軍が、攻撃型ドローンでロシアの複数の装甲兵員輸送車(APC)を破壊する様子を捉えたとする新たな動画が浮上した。戦火に引き裂かれたウクライナの中で、ロシアが併合を宣言したヘルソン州南部で撮影されたという。

<動画>ウクライナドローンの餌食になるロシアの装甲兵員輸送車

このXの動画は、YouTube画像の一部で、ウクライナ軍がロシア軍の複数のAPCを標的にしている。撮影場所は、ロシアが実効支配するドニプロ川東岸にあるクリンキー村の近くとされている。もしそうだとすれば、ウクライナ軍が今まさにロシアから奪還しようとしている戦場だ。

攻撃型ドローンを駆使する航空偵察部隊「マジャールの鳥」を率いるロベルト・ブロブディ(コールサイン「マジャール」)が10月29日にYouTubeに投稿した動画では、さらに多くのロシア軍車両が、ウクライナのドローンの餌食になっているように見える。

ウクライナが反転攻勢を開始して以降の数カ月、激戦地はおおむね、同国東部ドネツク州および南部ザポリージャ州に集中している。ロシアは2022年9月、ドネツクとザポリージャ、ルハンシク、ヘルソンの4州を公式に「併合」したが、ウクライナ南部および東部に位置するこれらの地域を完全に掌握しているわけではない。

なかでも最近になって注目が集まっているのがヘルソン州だ。アメリカのシンクタンク、戦争研究所(ISW)は10月28日付のレポートで、ドニプロ川東岸の河岸から約2キロのクリンキ村にウクライナ軍が「拠点を維持している」と述べた。ISWによれば、ウクライナ軍は10月中旬にロシア側が支配する東岸への渡河作戦を行った。難しいと言われた渡河が成功した上、対岸に拠点を築きつつあるようだ。

ウクライナ南部ではドニプロ川が、現在の戦闘の最前線だ。ロシア側は川の東側を支配しているが、それも2022年11月にここまで撤退させられた結果だ。

ウクライナ軍は、東岸地域に対する渡河作戦を複数回実施したと考えられている。ロシアが実効支配する村々に、より確実な足がかりを得ることを目指した行動だ。

10月20日付のニューヨーク・タイムズが伝えたところによると、ウクライナ軍が取り返したヘルソン市当局の広報を担当するオレクサンドル・トロコニコウは、ウクライナ軍部隊は、東岸に「海兵隊員などの兵員を上陸させるべく、絶え間なく努力を続けている」と述べたという。

ロシアの軍事ブロガーも、ウクライナが橋頭堡をドニプロ川東岸に築いたことを認めていると、戦争研究所は29日の報告で指摘していた。

(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米債市場の動き、FRBが利下げすべきとのシグナル=

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が

ワールド

ウォルツ米大統領補佐官が辞任へ=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中