最新記事
中東問題

恐怖の夜、イスラエルから到着した旅客機にロシア人暴徒が殺到、狙いはユダヤ人?

Russian Rioters Storm Dagestan Airport Searching for Israelis: Videos

2023年10月30日(月)16時11分
トーマス・キカ

滑走路を埋め尽くし、主翼の上から乗客に近づく者まで Hindustan Times/YouTube

<ユダヤ人を探して暴徒がパスポートチェックまで......>

<動画>飛行機の主翼に乗って機内に侵入しようとする男

ロシア南部の空港で、イスラエルから到着した旅客機に乗っているユダヤ人乗客を襲おうとする暴徒を撮影したとされる映像がインターネット上で出回っている。

 
 
 
 

イスラエルの英字紙エルサレム・ポストによれば、事件は現地時間29日夕、ロシア南部ダゲスタン共和国の都市マハチカラで起きた。地元のロシア人住民とされる群衆がイスラエルのテルアビブから到着した旅客機を襲ったという。

同紙によれば、現場を映したとされる動画では、地元住民の一部が「アッラーフアクバル(神は偉大なり)」と言いながら通る自動車を止めてパスポートをチェックし、ユダヤ人やイスラエル人が乗っていないか調べていたという。ロシアの国営通信社、RIAノーボスチによれば、現場には地元警察と国家親衛隊がおり、空港は11月6日まで閉鎖されるという。

事件はイスラエルとガザ地区のイスラム組織ハマスの武力紛争が激化する中で起きた。ハマスは10月7日、イスラエルを急襲。パレスチナ系民兵組織による対イスラエル攻撃としては最も多くの犠牲者が出た。イスラエルはガザ地区に報復し、過去最大級の空爆を開始。AP通信によれば、29日までのイスラエル側の犠牲者は1400人以上。ガザ地区のパレスチナ人の犠牲者は8000人を超えた。

空港を変更したのに待っていた

ウクライナ外務省の戦略的コミュニケーション担当大使オレクサンドル・シェルバはSNSのX(元ツイッター)に、現場で撮影されたとされる動画を投稿した。そのうち1本では、囲いを飛び越えて滑走路と思われる場所に入り込む群衆が、もう1つの動画では、大声で叫ぶ群衆に囲まれて尋問されているらしい男性の姿が捉えられている。シェルバは、現場に警察はいたものの、暴徒を止めようとはしなかったと主張している。

本誌は動画の内容が真実かどうか確認できなかったが、事件はロシアのメディアで広く報じられている。

エルサレム・ポストによれば、旅客機の操縦士は暴徒の存在を知らされて当初の予定とは異なる空港に行き先を変更したという。ところがその空港にも群衆は押し寄せた。ロシアの航空当局によれば、乗客のうちイスラエル人もしくはユダヤ人はごく少数に過ぎなかったという。イスラエル人(またはユダヤ人)の乗客は空港内で保護されており、モスクワに「できるだけ早く」移送されるという。航空当局はその後、暴徒は現地時間午後10時20分までにすべて排除されたと発表した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

利上げ「数カ月に1回」の声、為替の影響に言及も=日

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平の進展期待 ゼレンスキー

ビジネス

韓国クーパン創業者、顧客情報大量流出で初めて正式謝

ワールド

中国万科の社債37億元、返済猶予期間を30日に延長
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中