最新記事

地震

モロッコ地震の少し前、上空に現れた青い閃光の正体は

Mysterious Blue Glow Seen in Sky over Morocco Moments Before Deadly Quake

2023年9月14日(木)12時27分
アリストス・ジョージャウ

モロッコ地震で被災した家(9月13日)REUTERS/Evelyn Hockstein

<モロッコ地震の前に空に現れた青い閃光は何かの予兆か、それとも?>

【動画】トルコ大地震の前の不気味な鳥の群れ、地震予知した?

マグニチュード6.8の大規模地震に襲われたモロッコで、地震が起きた9月8日の午後11時ごろ、空に謎めいた青い閃光が目撃され、SNSで話題になっている。

モロッコ国営メディアの報道では、9月11日現在、死者は2600人を超え、2500人が負傷したとされている。犠牲者はさらに増える見込みだ。米地質調査所(USGS)によれば、モロッコやその周辺では、この規模の地震は120年以上起きていなかったという。

ユネスコ世界遺産に登録されている人気観光地マラケシュの旧市街も被害を受けた。

動画は、震源となったアトラス山脈の南西の都市アガディールの監視カメラで撮られたもの。地震が襲う少し前に、街の上空に見慣れない青い光が何度か閃く様子が映っている。

この動画を投稿したサウジアラビアのインフルエンサー、イヤド・アルハムードによると、動画はアガディールの住人から送られてきたものだという。

「謎めいた青い閃光が地平線上に現われた。それが何なのか、誰にもわからない」。アルハムードはそうコメントする。「誰か説明できる人はいる?」

地震の際に謎めいた光が上空で目撃されるのは、これが初めてではない。

USGSによれば、それは「地震光」と呼ばれるもの。地震のときに報告される幕状電光(空・雲への反射で空全体が明るくなること)、球電(帯電し発光する球体が大気中を浮遊する物理現象)、繊維状のストリーマ放電、一定時間続くグロー放電(オーロラ状の光)などの総称だ。

比較的まれではあるが、大気中での発光現象は、メキシコやトルコ・シリアで起きた最近の地震でも目撃された。

地震光の原理は長らく専門家を悩ませており、意見が一致していない。地球物理学的な説明する人もいるし、それに疑問を呈する人もいる。

USGSはウェブサイト上で、「地震前後および震源地付近で報告された通常とは異なる発光現象が実際に地震光にあたるかにどうかついては、地球物理学者によって考え方が異なる」と述べている。「報告のすべてを疑問視し、地震光の証拠にはならないとする者もいれば、少なくとも一部の報告は地震光に相当すると考える者もいる」

今回の動画については、UFO目撃証言や「空の異常現象」のファクトチェックをしているXアカウント「ufoofinterest.org」が、動画付きで独自の「種明かし」をしている。「あの青い閃光は、地震などのときにたびたび報告されている。原因は変圧器の爆発だ」

(翻訳:ガリレオ)

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:アルゼンチン止まらぬ物価高、隣国の町もゴ

ビジネス

アングル:肥満症薬に熱視線、30年代初頭までに世界

ワールド

イスラエル、新休戦案を提示 米大統領が発表 ハマス

ビジネス

米国株式市場=ダウ急反発、574ドル高 インフレ指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    F-16はまだか?スウェーデン製グリペン戦闘機の引き渡しも一時停止に

  • 2

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入、強烈な爆発で「木端微塵」に...ウクライナが映像公開

  • 3

    「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する、もう1つの『白雪姫』とは

  • 4

    インドで「性暴力を受けた」、旅行者の告発が相次ぐ.…

  • 5

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 6

    「人間の密輸」に手を染める10代がアメリカで急増...…

  • 7

    「集中力続かない」「ミスが増えた」...メンタル不調…

  • 8

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 9

    ロシアT-90戦車を大破させたウクライナ軍ドローン「…

  • 10

    米女性の「日焼け」の形に、米ネットユーザーが大騒…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中