最新記事

アジア情勢

南シナ海に打たれた「布石」...アメリカがフィリピンの離島で建設する「港」の効果とは

2023年9月13日(水)12時14分
ブレンダン・コール
米軍が港湾建設の計画を進めるフィリピン・バタン島

バタン島の戦略的意義は大きい EZRA ACAYAN/GETTY IMAGES

<フィリピン最北部バタン島で、米軍と地元政府が進める商業港の開発計画。台湾への距離も近く、中国の反発を招くのは必至とみられる>

領有権をめぐって中国と周辺諸国の対立が続く南シナ海に新たな火種が浮上した。フィリピン最北部のバタネス州バタン島で、アメリカ軍と地元政府が商業港の開発計画を進めていることが明らかになったのだ。

地元政府は荒天時に物資輸送できる代替港が必要だと説明するが、商用か軍用かにかかわらず戦略的な意味は極めて大きい。バタン島と台湾南端との距離はわずか200キロ足らず。両者の間に位置するバシー海峡は多くの船舶が通過する海上交通の要衝で、中国が台湾に侵攻する際の主要ルートと目される。

中国が南シナ海で軍事拠点の増設を進めるなか、アメリカはフィリピンなど周辺国との連携を強化しており、港湾建設も中国への牽制の一環とみられる。また、港が完成すれば米軍は台湾へのアクセスに優れた位置に戦略的拠点を得られる。

それだけに中国側の反発は必至で、フィリピンに経済面で圧力をかけて対抗する可能性も指摘されている。


2023101017issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2023年10月10日/17日号(10月3日発売)は「2023年の大谷翔平」特集。保存版 靭帯損傷で無念の離脱も日本人初HR王に!/地元紙番記者が特別寄稿/米ベテラン記者が来季を予測/450億円を動かす経済効果…他


ソニーのブラビアが30%オフ【アマゾン タイムセール(10月4日)】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ワールド

アルメニア首相、辞任を否定 「問題解決されず」

ビジネス

米ADP民間雇用、9月8.9万人増と予想下回る 2

ビジネス

米ISM非製造業指数、9月は53.6に低下 新規受

ビジネス

英バークレイズがレイオフに着手、投資銀行部門の3%

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:2023年の大谷翔平

特集:2023年の大谷翔平

2023年10月10日/2023年10月17日号(10/ 3発売)

WBCは劇的優勝、ケガで無念の離脱、そして日本人初本塁打王へ。激動の大谷イヤーを現地発の記事と写真で振り返る

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    複数のドローンがロシア西部「ミサイル工場」を攻撃、その閃光と爆音を捉えた映像

  • 2

    【独自】祝ホームラン王!「最強の戦友」マイク・トラウトに聞く、大谷翔平の素顔

  • 3

    中国・秦剛前外相の失脚は本当に女性関係のせいだったのか?

  • 4

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗…

  • 5

    「国慶節」ではしゃぐ中国を後目に、海外では中国建…

  • 6

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 7

    再契約か新天地か、注目される大谷翔平「争奪戦」の…

  • 8

    ロシア軍スホーイ戦闘機など4機ほぼ同時に「撃墜」され…

  • 9

    中国不動産バブル崩壊で地方役人は戦々恐々

  • 10

    処理水批判の中国から日本に観光客は来て...いる? …

  • 1

    【独自】祝ホームラン王!「最強の戦友」マイク・トラウトに聞く、大谷翔平の素顔

  • 2

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 3

    複数のドローンがロシア西部「ミサイル工場」を攻撃、その閃光と爆音を捉えた映像

  • 4

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗…

  • 5

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 6

    エリザベス女王も大絶賛した、キャサリン妃の「美髪…

  • 7

    ワグネル傭兵が搭乗か? マリの空港で大型輸送機が…

  • 8

    ロシア軍スホーイ戦闘機など4機ほぼ同時に「撃墜」され…

  • 9

    NATO加盟を断念すれば領土はウクライナに返す──ロシ…

  • 10

    ウクライナ「戦況」が変わる? ゼレンスキーが欲しが…

  • 1

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 2

    イーロン・マスクからスターリンクを買収することに決めました(パックン)

  • 3

    【独自】祝ホームラン王!「最強の戦友」マイク・トラウトに聞く、大谷翔平の素顔

  • 4

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗…

  • 5

    コンプライアンス専門家が読み解く、ジャニーズ事務…

  • 6

    「児童ポルノだ」「未成年なのに」 韓国の大人気女性…

  • 7

    <動画>ウクライナのために戦うアメリカ人志願兵部…

  • 8

    「これが現代の戦争だ」 数千ドルのドローンが、ロシ…

  • 9

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 10

    「この国の恥だ!」 インドで暴徒が女性を裸にし、街…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中