最新記事
ウクライナ

ワグネルに代わるロシア「主力部隊」の無秩序すぎる姿...RPG発射で「味方を吹き飛ばす」瞬間の映像

Chechen Soldier Hits Comrade with RPG in 'Rambo' Moment Gone Wrong

2023年7月29日(土)19時57分
エリー・クック
マリウポリのチェチェン人部隊

ウクライナ南部マリウポリのチェチェン人部隊(2022年4月) Chingis Kondarov-Reuters

<親ロシアのチェチェン兵士たちは、民間軍事会社「ワグネル」の反乱後、ウクライナの激戦地にも派遣されるようになったという>

ウクライナで戦っている親ロシアのチェチェン人兵士が、携行式ロケット弾(RPG)を使用した際、不注意によりバックブラスト(後方噴射)が仲間の兵士を直撃してしまう様子を捉えたとみられる動画が、インターネット上で拡散されている。

■【動画】統制は取れているのか? RPGのバックブラストが直撃して倒れるチェチェン人兵士

 
 
 
 
 

動画には、砲撃の音が鳴り響く中で一人のチェチェン人兵士が叫び声を上げ、その向こうで別の兵士が肩に担いだRPGを発射する様子が映っている。その直後、RPGを発射した兵士の後ろにいた兵士が、バックブラストの直撃を受けたようで地面に倒れ込む様子も、カメラは映し出している。この兵士はその後、仲間の兵士たちがいる塹壕に這っていった。

本誌はこの動画が撮影された日時や場所、動画に映っているチェチェン系兵士たちの身元について、独自に確認を取ることはできていない。この件についてロシア国防省にコメントを求めたが、返答はなかった。

親ロシアのチェチェン兵たちは、ロシアがウクライナに軍事侵攻した当初から、ロシアのために戦ってきた。ロシア南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の盟友とされており、これまでもウクライナでの戦争においてロシアへの支持を表明してきた。

ワグネルの戦闘員に代わる存在

これまで専門家はチェチェン人の兵士たちについて、前線には動員されておらず、浄化部隊や憲兵としての役割を果たしているとの見方を示してきた。しかしその後、カディロフは、チェチェン兵がロシアの民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員に代わって、バフムトなどの激戦地に配備されることになると述べている。

チェチェン人の兵士やチェチェン系の義勇兵の中には、ウクライナ軍に参加してロシア軍と戦っている者もいる。ウクライナの国防省は7月に入ってから、親ウクライナのチェチェン人部隊が、ウクライナ国内でロシア軍のトラックを待ち伏せする様子を捉えたとする動画をインターネット上で共有した。

米サンディエゴ州立大学のミハイル・アレクセーエフ教授(政治科学)は本誌に対して、多くのチェチェン人義勇兵が、ロシアとチェチェン共和国の非情な体制に対する「長年の不満」からウクライナの前線に向かったと指摘していた。ソビエト連邦の崩壊後、チェチェンは戦争に巻き込まれ、ロシアからの分離独立を目指したものの、再びモスクワの支配下に置かれることになった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中