最新記事
ロシア

ワグネルの一部部隊、反乱時にロシア核兵器貯蔵基地に到達か 「勝算を高める」ため核兵器の確保目指した?

2023年7月11日(火)12時31分
ロイター
ウクライナのブダノフ国防省情報総局長

ロシアの民間軍事会社ワグネルが6月24日の反乱で首都モスクワへ向けて北上していた際、複数の車両が東へ外れてロシア軍の核兵器貯蔵基地「ボロネジ45」の方向に向かったことが、インターネットに投稿された動画や現地住民の話で明らかになった。写真はウクライナのブダノフ国防省情報総局長。キーウで6日撮影(2023年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

ロシアの民間軍事会社ワグネルが6月24日の反乱で首都モスクワへ向けて北上していた際、複数の車両が東へ外れてロシア軍の核兵器貯蔵基地「ボロネジ45」の方向に向かったことが、インターネットに投稿された動画や現地住民の話で明らかになった。

ワグネル車両の軌跡は同基地から約100キロメートルの地点で途絶えた。ロイターは、その後に何が起きたのかを確認できなかった。西側の当局者らは、ロシア軍が貯蔵する核兵器が反乱の際に危険にさらされることはなかったと繰り返し述べている。

だがウクライナ軍情報機関トップのブダノフ国防省情報総局長はロイターの単独インタビューで、ワグネルの戦闘員はその後も進行し、核兵器貯蔵基地に到達したと話した。ワグネルの意図は、反乱の「勝算を高める」ために旧ソ連時代の小型核兵器を抑えることだったと説明した。

ブダノフ氏によると、戦闘員らは核兵器貯蔵施設のドアの前まで到達したが、ドアが閉鎖されていたため中に入れなかった。同氏はこうした説明の証拠を示さず、この件を巡り米軍その他の同盟国とどのような話し合いがあったかについてもコメントを避けた。戦闘員がその後撤収した理由も説明しなかった。

ロシアの占領下にあるウクライナ東部の消息筋は、この事態をロシア政府は憂慮し、ベラルーシのルカシェンコ大統領を仲介役とする反乱終結を後押しする要因になったと述べた。

米国家安全保障会議(NSC)のホッジ報道官はこの件について「裏付けを得られていない。いずれの時点でも核兵器や核物質が危機に瀕していたと示す情報は全くなかった」と述べた。

ロシア政府とワグネル創設者のプリコジン氏は、この記事に関する質問に答えていない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、米の攻撃「正当性なし」 イラン外相と会

ワールド

イランのフォルドゥ核施設、「非常に重大な」損害予想

ワールド

米国によるイラン攻撃で航空網混乱、GPS妨害急増

ビジネス

ヘッジファンドのレバレッジ、5年ぶり高水準=ゴール
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中