最新記事
ロシア

<独占>武装反乱中、逃げたプーチンはどこに行ったのか

Exclusive: Putin 'Fled Moscow' During Prigozhin's Mutiny

2023年7月6日(木)17時45分
イザベル・バン・ブリューゲン

プーチンの大統領専用機と迎えのリムジン(2017年、ベトナムのダナン) Kham-REUTERS

<亡命中のロシアの元石油王ホドルコフスキーは、反乱の間ずっとプーチンの動向を追っていた。プーチンは、身の危険を感じてあるところに隠れていた可能性が高い>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は民間軍事会社ワグネルの創始者エフゲニー・プリゴジンが率いた反乱の間、首都モスクワから逃亡していたという情報を本誌は入手した。

【写真】プーチンの愛人とされるクリボノギフと、彼女が所有する超豪華マンション

ロシアのオリガルヒ(新興財閥)で、プーチンの不興を買うまでロシア最大の資産を誇った元石油王のミハイル・ホドルコフスキー(現在はイギリスで亡命生活を送る)は、1日足らずで終わった6月24日の「プリゴジンの乱」の間、プーチンがどう動くか注視し、情報提供者と連絡を取っていたという。

まず、情報源の1人がプーチンは飛行機でモスクワを発ったと知らせてきた。行く先は、モスクワから約400キロ、ロシア北西部のトベリ州とノブゴロド州の間に位置する湖畔の保養地バルダイとみられる。ここにはプーチンの豪壮な別荘がある。

反乱の最中にはプーチンは大統領府にいなかったらしいという話は早くから噂になり、ではどこにいたのか、さまざまな憶測が飛び交った。

プーチンに「外国の手先」呼ばわりされ、祖国を捨てたホドルコフスキーは、ロシア連邦保安局(FSB)の内部に協力者を持ち、反乱中のプーチンの動向についても彼らから情報を得たという。

別荘近くに対空ミサイルを配備

「あの時プーチンがどう動くか、われわれは注意深く見守っていた。モスクワから逃げたのはほぼ確実で、バルダイの私邸に逃れた可能性が最も高い」今はロンドンにいるホドルコフスキーは本誌にそう語った。

バルダイにプーチン所有の宮殿並みの別荘があることは、これまでもさまざまなメディアが報じている。

ロシア語の独立系調査メディア「アゲンツトボ」が今年1月、ロシア領内にドローン攻撃があったのを機に、バルダイ別荘の近くに「パーンツィリSI対空ミサイルシステム」が配備されたことを報じた。そのニュースでは、問題の別荘は「プーチンとその親族や友人が余暇を過ごす私的な施設」とされていた。

さらにロシアの独立系メディア「メドゥーザ」が3月、バルダイ国立公園の一部が閉鎖され、一般客の立ち入りが禁止されたと伝えた。当局は湖の汚染を防ぐための措置と説明したが、湖畔にプーチンとその愛人と目される元体操選手が共同所有する不動産があることが調査報道で暴かれたため、取材陣や野次馬が集まるのを防ごうとしたのではないかと、地元の人々は噂しているという。

そして6月24日、「プーチン専用機」がモスクワからロシア北西部に向かったとの連絡が入ったと、ホドルコシフスキーは本誌に語った。大統領専用機は「バルダイ周辺のどこか」でフライト追跡レーダーから消えたという。ホドルコフスキーがこの情報を得たのはモスクワ時間の24日午後1時だった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国特別検察官、尹前大統領の拘束令状請求 職権乱用

ワールド

ダライ・ラマ、「一介の仏教僧」として使命に注力 9

ワールド

台湾鴻海、第2四半期売上高は過去最高 地政学的・為

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中