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「仮釈放はさせない」──反省なく犯人が社会に戻ることは絶対に許さない、被害者家族の闘い

My Brother’s Killer Is Up for Parole

2023年5月11日(木)14時31分
ステン・エリック・カールソン(自動車産業の元重役、カリフォルニア州在住)

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兄フランクと筆者 STEN ERIC CARLSON

犠牲者家族の重い負担

私の両親はあの犯罪とその後の仮釈放審査をきっかけに、被害者のための運動を開始した。彼らのような境遇の人々の努力のおかげで、法律は徐々に変わってきた。

80年代後半には、年1回の仮釈放審査が2年に1回になった。その後、私たちは適切な場合に刑期を延長できるルールの変更を求めて闘った。08年には、犯罪者と同様に、被害者の権利が考慮されるようにするマーシーズ法がカリフォルニア州で成立した。

しかし、振り子は元に戻ってしまった。近年はただでさえ複雑なプロセスに新たな条件が追加されている。パバジョーは犯行当時26歳未満だったため、青少年犯罪者に分類し直された。現在74歳なので、高齢犯罪者としても扱われる。

被害者の存在が忘れ去られると、委員会は仮釈放の勧告を出しやすくなる。だから私たちは政治家や警察、友人などに協力を求め、この人物に自由を与えることがどんな結果をもたらすかを委員会に訴えてきた。

その努力が実り、4月25日の聴聞会でパバジョーの仮釈放は認められなかった。だが3年後に再び審査が行われる。

この無差別犯罪の詳細を知って、同じことが自分の身に起こらなくて幸運だったと思う人もいるだろう。その気持ちはよく分かる。

だからこれからも続く私の闘いは、兄や義姉のためだけのものではない。ある意味では、「あなた」のためでもあるのだ。

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