最新記事

選挙

岸田首相に吹くG7サミットの追い風 支持率10ポイント上昇で永田町は解散に浮足立つ

2023年5月22日(月)20時42分
広島で会見する岸田首相

戦時下のウクライナ大統領が広島空港に降り立ち、7カ国の首脳が原爆慰霊碑にそろって献花する映像が全国に流れたG7サミットは、岸田首相の支持率に追い風になりそうだ。写真は21日、広島で会見する岸田首相。代表撮影(2023年 ロイター)

戦時下のウクライナ大統領が広島空港に降り立ち、7カ国の首脳が原爆慰霊碑にそろって献花する映像が全国に流れた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、岸田文雄首相の支持率に追い風になりそうだ。首相は広島からの会見で解散の可能性を否定したが、与党内には勢いを駆って選挙に打って出るべきとの声もあり、永田町は浮足立っている。

国内メディアがサミット開催中の週末に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は10ポイント近く上昇した。読売新聞は前回の47%から56%に、毎日新聞は36%から45%に改善した。

岸田首相はライフワークである「核なき世界」を被爆地の広島から訴えることにこだわり、バイデン米大統領をはじめとしたG7首脳による原爆資料館訪問を実現した。インドやブラジルなど、ロシアに厳しい姿勢を取らない国々の首脳を招待してウクライナのゼレンスキー大統領と引き合わせた。

万博相や防衛副大臣を務めた自民党の若宮健嗣衆議院議員はロイターの取材に、「ゼレンスキー大統領訪日は世界で大きく報道され、それによって力による現状変更を国際社会は認めるものでないことを発信できた。その意味でも岸田総理のリーダーシップは非常に大きかった」と語り、サミットを評価した。

2021年10月に発足した岸田政権の支持率は、旧統一教会問題などもあって20%台半ばから30%台の低空飛行が続いた。それが今年3月に韓国との関係改善に道筋をつけ、ウクライナを訪問すると底を打った。4月の統一地方選挙は衆参補選で4勝1敗ながら接戦だったが、与党内では「反転上昇傾向にある政権支持率に(サミットで)弾みが付きそうだ」(自民中堅幹部)との声が広がる。

法政大大学院の白鳥浩教授は、「ゼレンスキー大統領を招いたことで政権支持率が最高潮に達するとみられ、解散にいまほど条件の良いときはない」とみる。

もともと自民党若手の間には、統一地方選挙で勢力を拡大した日本維新の会の準備が整う前の解散総選挙を望む声が出ていた。そこにサミットの風が吹いた。自民党幹部の1人は、「勝てるときにやるのが選挙」と話す。内外景気が今後悪化する可能性があるとし、「6月21日の今会期末までに解散するしか時期はない」と語る。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独プーマ、第1四半期は売上高が予想と一致 年内の受

ビジネス

外貨準備高、4月末は1兆2789億ドル 「外貨証券

ワールド

米下院、ジョンソン議長の解任動議却下 共和党保守強

ビジネス

米マイクロソフト、ナイジェリアの開発センター閉鎖・
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増すばかり

  • 4

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 5

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 10

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中