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「オンラインなら再会できるはず」──北朝鮮に残した「離散家族」の消息を求めて

N. Korean Family Reunion ASAP

2023年3月9日(木)15時27分
シャロン・キム・ソルダーティ(韓国系アメリカ人ライター)

小さな記憶をよすがに

数週間後、チョンから連絡が来た。再会実現の一助になればと、韓国系二世のグループチャットを開設したという。人権担当特使が就任すれば、北朝鮮の家族と再会するチャンスがやっと到来すると、彼は感じている。

「特使と話をしなければ。オンラインなら再会が楽にできるはずだ」

昨年11月に私はソウルを訪れ、在外北朝鮮人訪問団の会合に92歳の伯母と出席した。伯母も、父たちと列車の屋根に乗って北朝鮮を脱出した。

朝食にテンジャンチゲを食べた後で伯母は言った。「あなたのおじいさんはとてもハンサムで賢い人だった」

「伯父さんは?」と私。

「凍えている人に自分のコートを脱いであげてしまうような人」。伯母は悲しそうに笑って老眼鏡の位置を直し、姪の安否を案じた。「あの子はいつも、はなを垂らしてた」

お年寄りはそんな小さな記憶を後生大事にする。ほかに残されたものがないからだ。

ターナーが特使になれば、父のような老人も家族の消息をつかむことができるかもしれない。政府は手遅れになる前に離散家族の再会を後押ししてほしい。時間はもうあまりない。

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