最新記事

中国経済

政府が「経済成長せよ!」と叫ぶだけの中国が、根本的に分かっていないこと

CHINA’S PRO-GROWTH HAPPY TALK

2023年2月15日(水)18時50分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)

古典的な共産主義イデオロギーにこだわる習政権

一方で中国は、投資家の信頼を得られる改革に乗り出さねばならない。習近平(シー・チンピン)政権は古典的な共産主義イデオロギーにこだわり、社会と経済に対する党の支配を強化してきた。民間企業に党の支部を置き、貿易相手国への危険な挑発を繰り返したりするようでは、信頼回復など望めない。

本気で成長を取り戻したいなら、かつて鄧小平が推進した政治改革の路線に戻るべきだ。とりわけ大事なのは法治主義の貫徹と司法の独立。さもないと民間事業者が自分の命と財産を守れない。

経済政策では非効率な国有企業を民営化し、企業に優しい規制環境を整えること。中小零細企業に対する支援策も、成長の回復軌道を維持するには欠かせない。

しかし今のところ、中国政府がこうした改革に乗り出す気配はない。成長を口にするだけで、1979年に毛沢東の階級闘争理論と決別した鄧小平のような気概で国の進路を変える兆しは見えない。党の甘言に乗せられてはいけない。この先も当面は、中国経済の息は上がったままだ。

©Project Syndicate

PSC_MinxinPei_130.jpgミンシン・ペイ
MINXIN PEI
上海生まれ。上海外国語大学を卒業後、米ハーバード大学で博士号取得。クレアモント・マッケンナ大学教授。専門は中国政治など。中国の政治体制に対する「懐疑派」の代表格として知られる。

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

グーグル、ドイツで過去最大の投資発表へ

ワールド

マクロスコープ:高市「会議」にリフレ派続々、財務省

ビジネス

ドイツ鉱工業生産、9月は前月比+1.3% 予想を大

ビジネス

日産、通期純損益予想を再び見送り 4━9月期は22
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中