最新記事

米政治

15回投票の米下院議長選、極右議員への「とんでもない譲歩」が明らかに

2023年1月16日(月)18時15分
シリン・アリ(スレート誌記者)

■特別小委員会の設置

マッカーシーは下院司法員会の下に特別小委員会を設置するという極右の提案も受け入れた。極右に言わせると、これは「司法の政治利用」を監視する組織で、ホワイトハウスのスタッフを召喚する権限を持ち、最高レベルの機密も扱う下院情報委員会が入手したあらゆる情報にアクセスできる。

極右がこの小委員会の設置を求めたのは、連邦議会議事堂襲撃事件の捜査やトランプ前大統領の不正疑惑の捜査を妨害するためだろう。

■予備選で極右候補を有利に

マッカーシーは極右と手を打つために、共和党の予備選で彼らを勝たせるような小細工までした。下院選で共和党候補を支援している政治資金団体「議会リーダーシップ基金」に、共和党候補の勝利がほぼ確実な選挙区では、予備選で特定の候補に選挙資金を提供しないよう求めたのだ。

極右の狙いは、予備選で共和党主流派の候補に与えられる資金を減らし、自分たちが勝つ確率を高めること。だが、この小細工は共和党全体にとっては命取りになりかねない。

昨秋の中間選挙で「赤い波」が起きなかったように、あまりに極端な右派を擁立すれば、伝統的に共和党が強固な支持基盤を持つ選挙区も民主党に奪われかねないからだ。

©2023 The Slate Group

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FRBの独立性は「最重要」、関税は顕著なインフレ引

ワールド

ガザ人道危機「想像を絶する」、日本含む24カ国外相

ワールド

OPEC、26年原油需要見通し引き上げ 域外産油国

ワールド

インド7月CPI、前年比1.55%に伸び鈍化 8年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トランプが「顧客リスト」を公開できない理由、元米大統領も関与か
  • 2
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
  • 3
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 4
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 5
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 6
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 7
    「古い火力発電所をデータセンターに転換」構想がWin…
  • 8
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 9
    「靴を脱いでください」と言われ続けて100億足...ア…
  • 10
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 1
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 2
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 5
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中