最新記事

インタビュー

太田光インタビュー:「カルト擁護」と言われても......炎上に抗う真意

2022年12月13日(火)17時15分
石戸 諭(ノンフィクションライター)
爆笑問題、太田光

全てを徹底的に笑いに変える、と覚悟を語る太田 HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN

<旧統一教会に関する発言で炎上した爆笑問題・太田光は「カルト擁護」で世論の「逆張り」なのか? 「全ての笑いは時事ネタである」と語る持論も含めてノンフィクションライター・石戸諭が聞いた>

※前後編のインタビューの後編です。前編はこちら

太田は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に関する発言を炎上で終わらせるだけでなく、脱カルト支援の現状についても、司会を務める番組『サンデー・ジャポン』で取り上げた。無理やり教団から信者を引き離して、個別に脱会を説得するような方法は、過去のものになっている。アップデートされた脱会支援において、徹底されていたのは、まずは信者の考えや信教の自由を否定しないことだった。

宗教を追い詰めないほうがいい

太田光(以下、太田):今は信者を無理やり引き離したり、あなたはだまされているとか、教義がダメだと説得したりすること自体、専門家の間では逆効果だと考えられている。脱会支援のやり方も変わっているんだね。ところが、スタジオのゲストからは「それでも、もっと教団から引き離さなければいけない」という声が出た。「世間」はここにあると思ったね。脱会支援の方法も変わっているという現実が伝わっていない。

俺の言い方がカルト擁護だと言われたら、擁護だろうね。これまで認めてきた一宗教法人を信仰してきた人たちの信教の自由も守らないといけない、と考えているから。だけど(信仰は)簡単に否定はできないはずだよね。否定するばかりでは多くの問題は解決できないから。

太田の考えは、現場で積み上がってきた脱カルト支援の知見と意外なほど近い。彼らは、たとえカルトであっても信教の自由があることをひとまずは認めて、信者自身の迷いや、もがきと誠実に向き合ってきた。その知見を踏まえると、カルトを弱体化させる最も効果的な方法は、信者を差別・排除せず、社会には多様な受け入れ先があることを示し続けることに尽きる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中