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ゼロコロナ政策で分断進む中国世論 規制緩和にも懸念根強く

2022年12月6日(火)10時36分

新型コロナを徹底的に封じ込めるゼロコロナは習近平国家主席の看板政策だが、国民の間で賛否は大きく分かれている。北京で撮影(2022年 ロイター/Thomas Peter)

中国・上海市に住む20代半ばのサミュエル・レンさんは、ゼロコロナ政策に嫌気が差している。

「オミクロンは脅威じゃない。ただの風邪みたいなものだ」と語り、新型コロナウィルス封じ込めのために続いているロックダウン(封鎖)を「ばかげている」と切って捨てた。

だが、心臓病と高血圧を患う上海市民ツァイ・シーユーさん(70)は、そうした不満を聞いてゼロコロナ政策への支持を変えることはない。1人でも感染者が出るのを黙認すれば「この疫病は必ず盛り返す」と感じており、「しばらくすれば消えてしまう風邪とは違う」と反論した。

新型コロナを徹底的に封じ込めるゼロコロナは習近平国家主席の看板政策だが、国民の間で賛否は大きく分かれている。

ロックダウンに抗議するデモが散発する一方で、死者の少なさがゼロコロナ政策の正しさを証明していると考え、最近始まった規制緩和に不安を覚える国民もいる。

公式発表によると、新型コロナによる累計死亡者数は中国が約5200人なのに対し、米国は100万人、ブラジルは69万人、英国は21万2000人を超えている。米国並みの死亡率を人口14億人の中国に当てはめると、死亡者は400万人を超える計算だ。

中国は高齢者のワクチン接種率が低い上に、医療制度にも不安があるため、新規感染者数が過去最高を更新している中で、制限を緩和することの潜在的リスクはなおさら高い。

上海の広告業界で働くサイラー・サンさんは「新型コロナ感染者をゼロに抑えることはできるが、そうすれば健全な経済は手に入らない。健全な経済を手に入れれば、感染者はゼロにできない」と、葛藤を口にした。

ロイターは中国国家衛生健康委員会にコロナ対策についてコメントを求めたが、今のところ回答はない。

蚊に高射砲

ロックダウンなどの制限措置により、中国の若年失業率は過去最悪を記録し、経済成長は落ち込み、工場やサプライチェーン(供給網)が打撃を被っている。

武漢の医師、ワン・ウェイジェンさんはソーシャルメディアの「微博(ウェイボー)」に「このウィルスに感染拡大初期と同じ政策で対処し続けるとすれば、蚊を殺すのに高射砲を用いるような感じだ」と投稿した。

当局は最近、隔離期間の短縮や検査義務の縮小を決めた。これはゼロコロナ政策から撤退する最初の試みだと受け止められている。多くの国民はこの変化を歓迎したが、警戒を解かない国民もいる。

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