最新記事

イラン

デモ激化のイラン...武装警官から「命がけで女性を守る」男たちの動画が感動呼ぶ

Video Allegedly Shows Iranian Men 'Risking Their Lives' to Protect Women

2022年9月30日(金)18時26分
サラ・サントラ
イスラム女性デモ

アミニさん死亡事件への抗議としてシリアで行われたデモ Orhan Qereman-Reuters

<ヒジャブのかぶり方をめぐって警察から暴行を受け、女性が死亡した事件が発端となって、イランでは抗議デモが一部暴動へと発展している>

イランでは、頭髪を覆うスカーフ「ヒジャブ」のかぶり方が不適切だとして拘束されたマフサ・アミニさん(22)が死亡した事件に対する抗議デモが激化している。そうしたデモの最中、警察から攻撃を受ける女性を「命懸けで」守ろうとする「丸腰」の男たちの動画がソーシャルメディアで拡散され、注目を集めている。

■【動画】イランのデモで、警官に押し倒された女性を守ろうとする非武装の男たち

イラン北部ボジュヌールドで撮影されたこの動画は、カナダ・オンタリオ州の州議会議員ゴールディ・ガマリがTikTokで共有したことで拡散された。「非武装の男性たちが、イランの非合法のテロリストのイスラム政権から女性たちを命懸けで守っている」とガマリは投稿した。

デモの発端となったクルド人女性のアミニさんは9月13日、公共の場ではヒジャブで髪を完全に覆わなければならないとする法律に違反したとして、イランの「道徳警察」に拘束された。報道によれば、アミニさんは首都テヘランのボザラ拘置所に移送される前に暴行を受け、3日後に病院で死亡した。

イラン当局は、アミニさんは心臓発作で死亡したと発表したが、一部メディアは当局による拷問と不当な扱いが原因だと報じている。

アミニさんが死亡したことに対し、抗議活動がイラン全土に拡大している。テヘランの女子大生らはスカーフを外し、「ヒジャブを強制されたくない」と訴えた。報道によれば、北部マーザンダラーンでは女性が街頭でスカーフを燃やし、南部ケルマンでは中央広場で髪を切る女性もいた。

デモは一部で暴徒化し、25日の時点で少なくとも41人が死亡した。

壁になって女性を守る男性たち

ガマリが共有した動画は、Twitterユーザー「1500tasvi」が投稿したもので、北部ボジュヌールドで行われたデモで、警察と市民が衝突している様子を撮影したものとされる。

動画には、警察に立ち向かっていった1人の女性が地面に押し倒される様子が映っている。すると男性2人が女性と警官の間に立ち、壁になろうとしたが、女性は立ち上がって再び警官に向かっていく。

女性が再び警官に地面に押し倒されると、同じ男性2人が駆け寄って彼女を介抱する。すると、別の男性数人が近づいてきて、そのうちの1人が警察と小競り合いになっているように見える。動画は、男性数人に付き添われて女性がその場を離れるところで終わっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中